開催趣旨

2025年末の実機システム発表を経て、次なる課題は「制御線の爆発的増加(Wiring Bottleneck)」の解消です。数百万量子ビットへのスケールアップを見据えたとき、室温から極低温へ数千本のケーブルを引く従来手法は限界を迎えています。

本イベントでは、マイクロ波を使用せずベースバンドパルスのみで全ての量子操作を完結させる「Exchange-only方式」を軸に、汎用FPGAをマイナス269℃(4K)の極低温下で動作させる「クライオCMOS」開発の最前線を議論します。

「実験機」を「量産可能な計算機」へと昇華させるための、周辺機器・コンポーネントへの要求仕様とビジネスチャンスについて、エンジニアの視点で深く議論します。

比較から見る「半導体量子×クライオCMOS」の優位性

比較項目
従来の制御方式
クライオCMOS近接制御
ビジネスへのインパクト

制御信号
高コストなマイクロ波回路
直流(ベースバンド)パルス
システム構成の劇的な簡素化

集積密度
希釈冷凍機のスペース限界
4Kステージへのロジック集積
筐体のダウンサイジングと低コスト化

製造プロセス
特殊な超伝導プロセス
標準的なCMOSプロセスの転用
既存の半導体サプライチェーンを活用可

拡張性
配線がスケーラビリティの壁
配線長短縮による信号品質向上
大規模チップ化(量産)への道筋

テクニカル・トピック:4K FPGAによる13chパルス制御の検証

現在進行中の具体的な開発ロードマップに基づき、以下の技術的課題を深掘りします。

1. クライオFPGA・13ch同期ループバック試験

汎用FPGA(Artix-7)を極低温で「脳」として機能させるための物理的改造と、13チャネル(プランジャー・交換相互作用・キャリア供給)の同期精度検証。

2. ナノ秒精度のパルス生成ロジック

マイクロ波レス操作に不可欠な、10ns幅の精密な矩形パルス生成。FPGA内部のIDELAY2を用いたピコ秒単位のタイミング補正技術。

3. 周辺機器への要求:極低温コンポーネントの需要

・高速・低消費電力DAC: 4Kで駆動する多チャネルDA変換器。

・高密度インターコネクト: 極低温対応の超小型コネクタ・高密度配線技術。

・熱アンカー・パッケージング: FPGAの自己発熱(~数百mW)を効率よく逃がす実装技術。

こんな方におすすめ

・半導体・電子部品メーカーのエンジニア

・
極低温環境という特殊条件下での自社技術の転用可能性を探りたい方。

・
回路設計・システムアーキテクト

・
クライオCMOSのロジック動作や、次世代の制御アーキテクチャに興味がある方。

・
量子コンピューティングの事業開発担当者

・開発が「一品モノ」から「量産」へ移行するターニングポイントを見極めたい方。