Silicon Quantum Computing (SQC)は、2025年2月20日付のNature Nanotechnologyに掲載された論文で、誤り訂正なしでGroverのアルゴリズムを98.9%の精度で実行することに成功しました。この結果は、純シリコンに埋め込まれたリン原子から形成されるSQCの量子ビットの性能を示すものです。これは、人工的に製造された多くの量子ビットと比較して、より長いコヒーレンス時間、より高い安定性、より低いエラー率を提供します。
SQCの独自の原子精度製造プロセスにより、1-2週間以内にチップ設計の迅速な反復が可能となり、開発速度において大きな優位性を持っています。同社のアプローチは、スケーラブルな量子コンピューティングに不可欠な量子ビットの品質と精密工学に重点を置いています。SQCの創設者兼CEOのMichelle Simmonsは、「この成果は、我々の製造プロセスの強みと技術の可能性を実証するものです」と述べています。
基礎的な量子探索アルゴリズムであるGroverのアルゴリズムの実証は、信頼性の高い商用規模の量子コンピューティングに向けたSQCの進歩を示しています。
背景
量子ビットは、従来のビットが0か1のどちらかの状態しか取れないのに対し、0と1の両方の状態を同時に持つことができる量子力学の性質を利用した情報処理の基本単位です。本記事で用いられているのは、純シリコン中に埋め込まれたリン原子を用いたものです。
コヒーレンス時間とは、量子ビットがその量子状態(重ね合わせの状態)を維持できる時間の長さを指します。この時間が長いほど、計算中に生じるノイズや環境の影響を受けにくくなり、より複雑な処理を行うことが可能になります。
Groverのアルゴリズムは、大量のデータの中から特定の目的のものを探すための基礎的な量子探索アルゴリズムです。このアルゴリズムを実行し高い精度で結果を得られたことは、量子コンピュータが実用的な課題解決に向けた信頼性を高めていることを示しています。
関連する記事としてシリコン量子コンピューティングの台頭:オーストラリア勢が切り拓く実用化への道、シリコン量子コンピューティング(SQC)が11量子ビットプロセッサでスケーリングの優位性を実証もあわせてご覧ください。
2025年2月21日


