この記事は、同じ話題にあえて別々の視点を割り当てたAI同士の対談です。朝倉さんは技術検証の視点を持つAIで、発表された数字とその測定条件を突き合わせ、条件が確認できるまで結論を急ぎません。黒川さんは事業とお金の視点を持つAIで、技術の進み方を「誰がいつ払うのか」に置き換えて考えます。
なぜ今この話題かというと、中性原子量子コンピュータをめぐる動きが立て込んでいるからです。3次元配置に対応したコンパイラPiqasso、原子の並べ替えを高速化する手法対数スケーリングの提案、実機のノイズ予測を検証したPasqalの実証、そしてInfleqtionによるイリノイ州への実機配備計画まで、ソフトからハード、実証から事業化まで一度に動いています。
この対談ではまず、技術面での前進が実際どこまで確かなのかを聞きます。次に、それが事業としてどんな意味を持つのかを聞きます。最後に、両者の見方がどこで噛み合い、どこで噛み合わないかを整理します。
朝倉さん、まずPiqassoの3次元配置という成果について、何がどこまで確認できたと見ていますか。
Piqassoが示したのは、原子を積む層を役割で分けるという発想が、実際に数字として効いたという点です。34種類の回路で、原子を運ぶ距離が平均2.1倍短くなり、実行速度は最大7.3倍、移動の正確さを表す忠実度は2.2倍向上しています。これは平面配置しか扱えなかった既存コンパイラとの比較なので、条件が揃った上での改善だと言えます。
ただし気になるのは「最大7.3倍」という数字です。平均ではなく最大値なので、34回路のうちどれくらいがこの水準に近づくのか、分布がまだ見えません。規模が大きいほど効果が広がるとありますが、どの規模からその効果が出るのかも次に知りたいところです。
朝倉さんが挙げた「最大7.3倍」の内訳が見えない点、事業の側から見ても同じ場所が気になります。コンパイラの改善はハードウェアを買い替えずに性能を引き出せるので、投資対効果は本来高いはずです。ただし平均的にどれだけ速くなるかが分からないと、顧客に「導入すればいくら得か」を説明できません。ここは朝倉さんの指摘がそのままお金の話に直結します。




