量子コンピュータに取り組む企業が増えるにつれ、社内で最初に問題になるのは「誰がどこまで分かっているのか」を確かめる手立てがないことです。一般社団法人 日本量子コンピューティング協会(JQCA)が実施する検定は、そこに一つの物差しを置こうとする取り組みです。同協会は2023年6月27日設立で、代表理事は高野秀隆氏、本部は東京都中央区銀座にあります。
同協会は、量子コンピューティングの知識を持って事業で活用する人材を「ジェネラリスト」、量子コンピューティングを実装する人材を「エンジニア」と位置づけています。そのうえで、それぞれに必要な知識やスキルセットを定義し、資格試験を行うとしています。講座は同協会が認定した事業者が提供する形です。つまり、この二分法そのものが、量子技術を扱う職種の輪郭を示していることになります。受講後、一定のスキルを有すると認定された人には「資格認定証」が発行されます。
検定・講座の区分は4種類です。量子ジェネラリスト講座は、量子コンピューティングの基礎知識を学び、ビジネスや研究に応用する内容とされています。量子エンジニア(アニーリング式)講座は、組合せ最適化に向いた方式であるアニーリング式を扱い、エントリーコースとアドバンスコースに分かれます。量子エンジニア(ゲート式)講座は、演算を順に適用していく汎用的な方式であるゲート式を扱い、こちらも2コース構成です。そして新設されたのが量子エンジニア(量子暗号通信)講座です。
量子暗号通信の区分は、エントリーで量子鍵配送(QKD)の原理、BB84プロトコル、量子乱数生成(QRNG)、耐量子暗号(PQC)の概要を扱います。アドバンスではQKDネットワーク設計、CRYSTALS-KyberやCRYSTALS-Dilithiumといった耐量子暗号アルゴリズムの実装、暗号移行計画の策定、運用・評価手法まで進みます。ここには、暗号の移行計画という、量子コンピュータそのものを動かす話とは性質の違うテーマが含まれています。既存の暗号を置き換える作業は、計算機の完成を待たずに着手が必要になる領域だからです。
裾野を広げる仕掛けも用意されています。学生受験は5,000円で、在学証明書の提出が必要な場合があります。また株式会社東陽テクニカの支援により、学生および教員は量子ジェネラリスト検定を無料で受験できると案内されています。通常9,800円のところ、1人あたり最大2回、先着200名限定です。法人向けには、東京都内に本社または主たる事業所がある場合、東京都「事業外スキルアップ助成金」を使うと検定と講座のセットを最大67%OFFで受講・受験できる、と同協会は案内しています。
受け方の手順は4段階です。まずConnpassで検定の実施期間を確認します。次に実施期間中に動画プラットフォーム「QAI-Zen」で検定受験用の動画コンテンツを購入すると、受験できるようになります。動画を視聴して受験方法を確認すると試験問題をダウンロードでき、実施期間内に回答して提出します。
費用は、2026年8月14日確認時点で個人受験9,800円、学生受験5,000円です。団体受験は5〜20人で10%割引の8,820円/人、21〜50人で20%割引の7,840円/人、51〜100人で30%割引の6,860円/人、101人以上は問い合わせとなっています。オンラインの試験対策講座はジェネラリストが4時間19,800円、エンジニア各区分が6時間29,800円で、全区分セット割引は89,800円です。検定と対策講座のセットはジェネラリスト26,800円、エンジニア各区分35,800円です。2026年度は毎月おおむね3週間強の試験期間が設定され、現在は8月14日(金)〜9月6日(日)の回が開催中で、合格通知は9月7日(月)とされています。
提出期限は各回の最終日23:59で、期限を過ぎた提出は無効です。スケジュールは予定であり変更となる場合があるため、最新の実施情報はConnpassで確認するよう同協会は案内しています。問い合わせ先は[email protected]で、土日祝は対応不可とされています。本記事の内容は2026年8月14日時点のものです。
検定の詳細と受検方法は同協会の資格・認定講座のページ、試験期間は検定スケジュールに出ています。




