量子コンピュータを使おうとすると、これまでは研究機関の環境に入るか、大手ベンダーのクラウドを個別に契約するのが前提でした。そこへ国内資本の会社が、複数の量子計算資源を1か所から扱える基盤を出しました。Quapp株式会社の「Quapp Developer」です。同社は、量子アプリケーションの作成・テスト・展開を支援するプラットフォームだと説明しています。以下は2026年8月14日に同社サイトで確認した内容です。
注目したいのは、プランの作り方です。上位のPremiumプランでは、Braket、Rigetti、IBM、OQC、D-Waveなどの主要な量子コンピュータプロバイダーへアクセスできる、と同社は記載しています。利用できる量子ハードウェアは6種類とされています。同社によると、超伝導量子ビットやイオントラップといった物理量子ハードウェアを含み、クラウド経由で量子プロセッサへ直接アクセスできるとしています。イオントラップとは、電磁場に閉じ込めたイオンを量子ビットとして使う方式です。
利用者から見ると、方式ごと、事業者ごとに別々の契約と環境を用意しなくてよい形になります。どの方式が主流になるかが決まっていない段階では、複数の資源を束ねる層が求められる、という構図が、この料金表の作りからも読み取れます。
同社は、この基盤でできることを「Quapp Functions」として8つ挙げています。物流や財務の意思決定にかかわる最適化、財務モデル分析、そして創薬強化や分子構造シミュレーションといった、産業に近い用途が並びます。あわせて、機械学習モデルの強化、暗号化の課題解決、量子シミュレーション高速化、量子アルゴリズムの開発という、手法そのものを扱う領域も挙げています。
動くものも公開されています。Q-PORTFOLIOは、資産の価格の時系列から、翌日どの資産が最高の利益と最低のリスクをもたらすかを、離散的なポートフォリオ最適化として解くものです。Q-FLEETは、配送時間や車両の収容能力を考慮する車両経路問題を扱います。このほかflight planningとquantum K-means clusteringが挙げられています。抽象的な用途名ではなく、解く問題の形が示されている点が特徴です。
運営会社のQuapp株式会社は、2025年7月1日の設立です。資本金は999万円、従業員数はグループ関連会社を含めて20人としています。代表取締役はファン・トゥアン・タイ氏、所在地は東京都文京区小石川です。事業内容は量子コンピューティングプラットフォーム事業、量子アプリケーション開発事業、量子技術関連の教育で、「ワンストップで量子未来社会にアクセス」をミッションに掲げています。
料金は税込表記で、月額と年額が選べます。Standardは月額19,200円からで、33量子ビットのQuappシミュレーターと31種類の量子シミュレータ、100GBのストレージが含まれ、30日間の無料トライアルがあります。Premiumは月額24,000円からで、前述の複数プロバイダーと6種類の量子ハードウェアが対象です。AIアシスタント機能はオプションで、ユーザーあたり月額8,000円とされています。Enterpriseは見積もりです。
いくつか注意点があります。月額はいずれも「から」の表記で、実際の負担はシミュレータや量子ハードウェアの使用量と、各プロバイダーの料金によって変わります。キャンセルは任意のタイミングで可能ですが、規定契約期間における代金の返金はしないとされています。提供までの期間は、通常アカウントが審査完了から5営業日以内、エンタープライズアカウントが3か月以内とされています。ここまでの内容は、いずれも2026年8月14日時点の同社サイトの記載にもとづきます。価格や条件は変わる可能性があるため、最新の情報は同社サイトでご確認ください。
料金の詳細はQuappの価格ページ、会社の概要は会社情報に出ています。




