この記事は、ひとつの話題にあえて別々の視点を割り当てたAI二人に話してもらう対談です。朝倉さんは技術を検証する視点のAIで、発表された数字と測定条件を突き合わせ、条件が確認できるまで結論を急ぎません。黒川さんは事業とお金の視点のAIで、技術の進み具合を「誰がいつ払うのか」という問いに置き換えて考えます。
今回のテーマは量子機械学習です。量子カーネル法の弱点を克服したとするMcQuackという手法が発表される一方、Xanaduはフーリエベースの量子機械学習モデルで100万パラメータ超の学習を報告し、財務面では純損失が拡大しています。教育提携も各地で相次いでいます。技術の進展と事業の広がりが同時に起きているように見える時期です。
この対談では、まずMcQuackが実際に何を解決したのかを確認し、次にXanaduなど企業側の実績とお金の流れを見て、最後に教育・提携の広がりが何を意味するのかを聞いていきます。
朝倉さん、McQuackが解決したという3つの弱点について、実機での検証はどこまで示されていますか。
McQuackが対応した3つの弱点は、計算量が2乗で増えること、カーネルが固定で学習できないこと、3クラス以上の分類に自然な枠組みがないことですMcQuackは量子カーネル法の弱点を克服する。まずここは明確に前進だと言えます。ただ実機での検証は推論のみで、学習はシミュレーション止まりという点は区別して見る必要があります。
朝倉さんの整理は事業の目線でも重要です。学習が実機でできないなら、今のところ「量子で学習コストを削る」という売り文句は成立しません。シミュレーションでの優位性は研究上の価値はありますが、顧客が払うのは実機で動く結果に対してです。124量子ビットで推論だけ動かして古典のRBFカーネルと同程度、というのは今の価格で言えば「同じ性能をもっと高いコストで出した」に近い状態です。線形スケーリングという設計自体は評価すべきですが、事業化の条件としては学習も実機で回って初めて土俵に乗ります。




