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量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/12 14:30(日本時間)
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暗号資産

BIP-361草案、量子脆弱なECDSA/Schnorr署名を段階的に無効化する提案

要約

量子コンピュータに脆弱なECDSAとSchnorrを段階的に無効化するBIP-361(Draft)の内容を整理しました。フェーズAの送金禁止、フェーズBの救済プロトコル限定、任意のフェーズCによる回収案に加え、Motivationの根拠、反対意見、未定事項も並べて紹介します。

ビットコインの署名方式を段階的に使えなくする提案が出ています。番号はBIP-361、題は「Post Quantum Migration and Legacy Signature Sunset」です。著者はJameson Lopp、Christian Papathanasiou、Ian Smith、Joe Ross、Steve Vaile、Pierre-Luc Dallaire-Demersの6名です。作成日は2026年2月11日とされています。ただし本稿を確認した2026年8月26日時点で、BIP-361のStatusは「Draft」です。つまり議論のための草案であり、決まったことではありません。BIPの分類ではTypeがInformational、Layerが合意層(Consensus)で、ソフトフォークとして位置づけられています。つまり、いまは仕様を確定させる文書ではなく、方針を示して議論にかけている段階です。最初の提案は、Jameson Loppが2025年7月13日にBitcoin開発メーリングリストへ投稿したものです。

提案の狙いは、量子コンピュータに破られる恐れのある署名方式を、期限を切って退場させることです。対象はECDSAとSchnorrです。同提案は、量子への備えを全体の努力目標ではなく、本人の損得の問題に置き換える立て付けを取っています。上げなければ自分の資金が動かせなくなる、という形にするものです。

フェーズAでは、量子に対して脆弱なアドレスへ送ることを禁じるとしています。時期は発効から約160,000ブロック、およそ3年後です。フェーズBでは、ECDSAとSchnorrによる支払いを、量子安全な救済プロトコル経由に制限するとしています。時期はフェーズAから2年後、発効からおよそ5年後です。目的は、脆弱なUTXOからの盗難を防ぐことだと説明されています。影響を受けるのは、旧来のECDSA/Schnorrスクリプト、P2PK出力、そして公開鍵が露出したP2TRです。メーリングリストの原案には、フェーズCとして回収の仕組みも書かれています。BIP-39のシードフレーズをゼロ知識証明で示すことで、凍結された旧来の資金を回収できるようにするというものです。ゼロ知識証明とは、中身そのものを見せずに、それを知っていることだけを証明する方式です。ただしフェーズCは任意(optional)として提示されています。

なぜ急ぐのか。BIP本文のMotivationは、いくつかの根拠を挙げています。まず、NISTが2024年に3つのポスト量子署名方式を実用水準として承認したことです。次に、学術的な見積もりとして、暗号に関係する量子コンピュータが2027年から2030年にも現れうるとされている点です。これはあくまで見積もりです。さらに、量子アルゴリズムの改善が続き、必要なハードウェアの理論的要求が最大20倍下がったとしています。そして2026年3月1日時点で、全ビットコインの34%超が公開鍵をチェーン上に露出しているとしています。この数字は動いています。2025年7月の原案の時点では約25%とされていました。

同提案は、攻撃が気づかれない恐れにも触れています。鍵を割り出してから数週間から数か月後に資金を動かせば、いつ破られたのかは後からしか分からないという指摘です。つまり、いわゆるQ-Dayの時期は事後にしか判明しない可能性があるとしています。加えて、ウォレット、取引所、マイナー、カストディアンの足並みをそろえるには、歴史的に数年かかると述べています。

一方で、メーリングリストでは反対の声も出ています。Tadge DryjaとAntoine Riardが懸念を表明しています。ポスト量子署名の有効化と、楕円曲線署名の無効化を結びつけること自体への懸念です。また、量子コンピュータの存在が実際に示される前に、先回りしてコインを使えなくすることへの懸念も挙がっています。さらに、技術的な没収の前例を作ってしまうという指摘もあります。本稿では賛否を判定しません。賛成側の論拠と反対側の論拠を、そのまま並べます。

決まっていないことも多く残っています。採用するポスト量子署名方式は未定で、別のBIP待ちとされています。救済プロトコルの詳細な設計も未定です。どの救済プロトコルが旧来の残高の大半をカバーするのかも決まっていません。両フェーズの具体的なブロック高も示されていません。P2PKの支払いに関する「Hourglass」型の提案との整合や、検証を厳しくする仕組みの技術的な実装も未定です。

ポスト量子暗号そのものの背景は【教えて先生】ポスト量子暗号とは何か―今備える理由と国・資格の役割で扱っています。デジタル資産側の動きはAnchorage Digitalが機関投資家向け資産のポスト量子移行戦略を概説やGalaxy Digital、500万ドルのBitcoin量子準備イニシアチブを開始もあわせてご覧ください。

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