NISQ(ニスク)とは「Noisy Intermediate-Scale Quantum」の略で、日本語では「ノイズあり中規模量子コンピュータ」と訳されます。今のニュースでよく話題になっている量子コンピュータの多くは、実はこのNISQと呼ばれる発展途上の段階にあります。
「ノイズあり」というのは、計算の過程でどうしても間違い(エラー)が混ざってしまう、という意味です。量子ビットはとても繊細で、周りの温度のわずかな変化や振動、電磁波といった外部の影響を受けやすく、まるで静かな部屋でしか聞き取れない小さな音を、騒がしい場所で聞き取ろうとしているような状態です。そのため、完全に正確な計算をするにはまだ技術的な課題が残っています。
「中規模」とは、量子ビットの数がまだ数十〜数百個程度で、大規模な計算をするには量子ビットの数も足りていない、という段階を指します。将来的には、エラーを訂正する仕組み(量子誤り訂正)を備えた、より大規模で正確な量子コンピュータが実現すると期待されていますが、現在はその前段階として、ノイズを抱えたまま、限られた数の量子ビットでどこまで実用的な計算ができるかを試している時期にあたります。ニュースで新しい量子コンピュータの発表を見たときは、それが「NISQ時代」の技術なのか、その先を見据えたものなのかを意識すると、理解が深まります。


