量子コンピュータには、計算の基本単位である「量子ビット」を実現するためのさまざまな作り方があります。cat qubit(キャットキュービット)は、その作り方の一つで、物理学者シュレーディンガーが考えた「生きている猫と死んでいる猫が同時に存在する」という思考実験(シュレーディンガーの猫)にちなんで名付けられました。
通常の量子ビットは、ちょっとしたノイズ(周囲からの振動や電磁波の乱れなど)ですぐに情報が崩れてしまう、とても壊れやすい性質を持っています。cat qubitは、光や電気の振動状態をうまく組み合わせて「二つの離れた状態の重ね合わせ」を作ることで、特定の種類のエラー(ビット反転と呼ばれる誤り)が起こりにくくなるように工夫された量子ビットです。いわば、風で倒れにくいように重心を低くしたコップのような設計だとイメージすると分かりやすいかもしれません。
量子コンピュータが実用的な計算を行うには、エラーを訂正する仕組み(量子誤り訂正)が欠かせませんが、そのためには多くの部品と手間が必要になります。cat qubitはあらかじめエラーが起きにくい形に量子ビットを作ることで、誤り訂正に必要な手間を減らせる可能性がある技術として、AlicelBobをはじめとする企業が研究開発を進めています。
