D-Waveは、カナダに本社を置く量子コンピュータ企業です。多くの量子コンピュータが「ゲート型」と呼ばれる方式(従来のコンピュータのように論理演算を積み重ねて計算する方式)を採用しているのに対し、D-Waveは「量子アニーリング」という独自の方式を採用しています。量子アニーリングは、複雑な組み合わせから最適な答えを探す「組合せ最適化問題」が得意で、たとえば物流の配送ルート最短化や、金融ポートフォリオの最適化といった実用的な課題に応用が期待されています。
D-Waveのマシンは、超伝導回路で作られた量子ビットを多数並べ、物理現象を利用してエネルギーが最小になる状態を探索します。これは、たくさんの谷と山がある地形で、一番低い谷(最適解)を探すために、ボールを転がして偶然の動きを利用しながら探すようなイメージです。従来のコンピュータが総当たりで調べるのに対し、量子のゆらぎを使って効率的に候補を絞り込むため、特定の問題では高速化が期待されています。
ただし、D-Waveの量子コンピュータは汎用機ではなく、特定の計算に特化した「専用機」です。そのため、一般のコンピュータを完全に置き換えるものではなく、企業や研究機関が特定の最適化問題を解くために利用しています。業界では、量子アニーリングの商用化をリードする存在として知られており、実際に金融機関や自動車メーカーなどが試験的に導入していることでも話題になっています。



