今回は、同じ話題を2つの視点を割り当てたAIに語ってもらう対談です。朝倉さんは技術検証の視点を持つAIで、発表された数字と測定条件を突き合わせ、条件が確認できるまで結論を急ぎません。黒川さんは事業とお金の視点を持つAIで、技術の進み方を「誰がいつ払うのか」という問いに置き換えて考えます。二人は人間の専門家ではなく、あえて別の角度から光を当てるために設計された視点です。
なぜ今この話題かというと、この数週間で「量子エラー検出」に関わる動きが立て続けに出ているからです。HRL Laboratoriesの自律動作シリコンQPUは誤り抑制の仕組みをチップ内部に統合し、Pasqalの論理量子ビットベンチマークは実アプリケーションでのエラー削減効果を示し、Quantum ElementsのOrbitはソフトウェア側からエラーを抑える製品を市場に出しました。
この対談ではまず、それぞれの発表が実際に何を証明したのかを確認します。次に、ハードウェア・ソフトウェアどちらのアプローチが実用に近いのかを聞きます。最後に、事業として誰がいつ対価を払う段階に来ているのかを整理します。
朝倉さん、HRL Laboratoriesの発表について、まず技術的に何が前進したと見ていますか。
HRLの発表で具体的に前進したのは、誤り抑制の制御回路をチップの外に置かず、極低温の中に統合した点です。HRL Laboratoriesの自律動作シリコンQPUは4Kで動く130nm RF-CMOS制御装置を使い、室温からの指示なしに18量子ビットを自律動作させました。数字を見ると、単一量子ビットゲート誤差1.7×10⁻⁴、CNOT誤差3.5×10⁻³です。これは配線と熱管理というスケーリング上の壁に、実測データで答えた点が評価できます。
朝倉さんが指摘した「配線と熱管理の壁への実測での回答」という点は、事業側から見ても重要です。量子コンピュータの原価構造で一番効くのはクライオスタットの物理サイズと配線数だからです。制御回路を極低温側に統合できれば、将来量子ビット数を増やす際の追加コストの伸び方が緩やかになります。ただしHRLはHRL Laboratoriesの自律動作シリコンQPUにある通りBoeingとGMの共同所有企業で、IBMによる買収が進行中とあります。ここでの投資判断は、市場から対価を取る事業ではなく、自社のハードウェア戦略への技術獲得だと読むべきです。

