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量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/12 15:15(日本時間)
%は前日比・グラフは直近10営業日の推移 — 株価とニュースの突き合わせ / 業界の関係図
方式くらべ

【方式くらべ】超伝導方式とは何か:仕組み・強みと弱み・IBMの現在地

要約

量子コンピュータの代表的な方式である超伝導方式について、Josephson接合を用いた仕組みや、成熟した製造技術という強みと回路サイズ・配線の複雑さという弱みを解説。IBMなど各社の開発動向や誤り訂正研究の最新事情も分かります。

「量子コンピュータって、結局どんな部品でできているの」と聞いたことがあるかもしれません。実は方式がいくつもあり、答えは1つではありません。この連載では、方式ごとに仕組みと現状を見ていきます。第1回は、いま最も広く使われている超伝導方式です。

超伝導方式では、電気抵抗がゼロになる超伝導状態の回路で量子ビットを作ります。回路の中に「Josephson接合」という、絶縁体をごく薄い層で挟んだ特殊な部品を入れます。この接合があることで、回路の中を流れる電流の状態を、量子力学的な重ね合わせとして扱えるようになります。回路はマイナス273度近くまで冷やした希釈冷凍機の中に置きます。そして、マイクロ波を当てることで量子ビットの状態を操作します。ちょうど、ブランコを絶妙なタイミングで押して振れ方を変えるような操作を、電気信号で行うイメージです。ただしブランコと違い、量子ビットは0と1の重ね合わせという特殊な状態を保っている点が本質的に違います。

この方式の強みは、なんといっても成熟度の高さです。半導体チップの製造技術を応用できるため、量子ビットを回路として設計し、既存の製造ラインに近い工程で作れます。業界専門家の分析でも、Josephson接合に基づく超伝導量子ビットは高く評価されています。それは「依然として最も成熟した量子技術」という評価です。操作の速度も速く、計算を短時間で多く実行できる点も利点です。

一方で弱みもはっきりしています。まず、量子ビット1つあたりの回路サイズが大きく、チップの面積を取ります。業界専門家の分析によれば、量子ビットあたりのダイ面積は大きいとされています。その差は、後述するスピン量子ビットと比べて桁違いです。また希釈冷凍機というかさばる冷却装置が必須で、配線の複雑さも課題です。多数の量子ビットを制御するための配線を、室温の電子機器から冷凍機の奥まで通す必要があります。そのため、規模を大きくするほど配線の取り回しが難しくなります。業界専門家の分析では、GQIの予測として、超伝導システムは単一モジュールに数千量子ビット以上を搭載できないとされています。それ以上を目指すには、複数のシステムをネットワークでつなぐ必要があると指摘されています。

いまどこまで進んでいるかについて見てみましょう。米国エネルギー省のGenesis Missionの取り組みが参考になります。この記事では、IBMの156量子ビットシステムについて紹介されています。国立研究所や大学の研究者が利用できる環境が整えられたことが報じられています。また、誤り訂正の分野でも研究が進んでいます。配線を減らして誤り訂正を効率化する新手法についての論文解説があります。そこでは、実在する超伝導量子ビットの一種「フラクソニウム」を想定したシミュレーションで、計算の正確さが最大約25%改善する可能性が示されています。こうした地道な改良の積み重ねが、実用化への距離を少しずつ縮めています。

取り組んでいる企業や機関としては、まずIBMが挙げられます。IBMによるHRL Laboratoriesの買収では、IBMが超伝導量子ビットを中核プログラムとしていることが紹介されています。加えて、2029年までに1億量子演算が可能な「Starling」システムを、2030年代半ばには10億演算規模の「Blue Jay」を展開する計画も示されています。ただ同時に、この買収には別の側面もあります。それはシリコンスピン量子ビットという別方式への「保険」でもあると業界専門家の分析は指摘しています。長期的には超伝導方式が別の技術に置き換わる可能性も見据えた動きです。国家レベルでの取り組みとしては、イスラエルが約33億円の提案募集を始めたことが挙げられます。超伝導回路を含む複数の量子技術を統合する国家インフラの構築を目指していることも報じられています。

いま業界の関心は、超伝導方式の強みをどう活かしながら、その弱みをどう補うかに向いています。IBMのHRL買収は、まさにその弱みへの備えとして読み解けます。超伝導方式は、成熟した製造技術と速い操作を武器にしています。一方で、回路サイズと配線の複雑さという壁を抱えた方式だ、とまとめられます。次回は、別の方式を取り上げます。

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