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量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/12 14:30(日本時間)
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方式くらべ

【方式くらべ】光ピンセットで原子を操る「中性原子方式」量子コンピュータとは

要約

中性原子方式の量子コンピュータは、光ピンセットで原子を捕らえリュードベリ状態で相互作用させる仕組みです。配置の自由度が強みですが、原子の脱落やドリフトが課題であることや、Pasqalなどの最新研究動向も分かります。

中性原子を使う量子コンピュータは、レーザーだけで原子を空中に浮かせて計算します。そう聞いたことがあるかもしれません。針も電極も使わないのに、なぜ原子がその場にとどまり、計算までできるのでしょうか。今回はこの中性原子方式を掘っていきます。

仕組みはこうです。真空中に浮かせた中性原子を、レーザー光で作った「光ピンセット」という小さな罠で一つずつつかまえます。原子はこの罠の中にとどまり、内部の電子のエネルギー状態を0と1に対応させることで量子ビットになります。原子どうしを計算させたいときは、電子を「リュードベリ状態」という状態にします。これは、原子核から遠い軌道まで電子を励起した特別な状態です。この状態の原子は互いに強く引き合ったり反発したりする性質を持ちます。この相互作用を使って複数の量子ビットをまとめて操ります。

この方式の強みは、原子を並べる位置を光ピンセットで自由に決められることです。配置の自由度が高いので、量子ビットの数を増やしやすいとされています。実際、原子を並べる光学系をチップ化する研究も進んでいます。PasqalはPhotonic Integrated Circuitを使っています。この技術によって、原子をトラップする実証に成功しました。従来は自由空間の光学テーブルが必要でした。これを固体のチップに置き換えることで、装置の小型化を目指しています。

ただし弱みもあります。原子は真空中に浮いているだけなので、わずかな振動や熱の揺らぎで罠からこぼれ落ちてしまうことがあります。また、原子を操るレーザーの強さなどの制御パラメータは、周囲の環境によって少しずつずれます。これを「ドリフト」という現象と呼びます。長時間の計算を安定して続けるには、このドリフトへの対処が欠かせません。自己較正型の量子誤り耐性についての理論研究では、中性原子アレイのシミュレーションが使われています。そこでは、誤り訂正の測定結果をそのまま装置の再調整にも使うという考え方が検証されています。

いまどこまで来ているかを見てみましょう。Pasqalは現在、1,000以上の物理量子ビットを持つシステムを動かしています。将来的には10,000以上の物理原子を使うことを目指しています。そして、100個の論理量子ビットを持つ、誤りに強いアーキテクチャを実現するロードマップを掲げています。チップ化の実証では、光ピンセットで4つのルビジウム原子を捕まえ、原子の寿命は約27.5秒を記録しました。これは従来のバルク光学系と同等の性能だとされています。また離れた量子ビットどうしをつなぐ研究もあります。光子を介したもつれ生成の速度として、毎秒30万回以上という数字が理論的に示されています。これは装置内部で行う2量子ビットの演算速度に迫る水準です。

取り組んでいる企業や機関としては、光ピンセットのチップ化を進めるPasqalが代表例として挙げられます。また、中性原子どうしを長距離でつなぐ量子インターコネクトの研究も進んでいます。イッテルビウム原子を使った高速もつれ生成の理論的な提案も進んでいます。さらに、Icebergコードという誤り訂正符号を使う研究もあります。中性原子アレイでの実演を見据えた計算手法を組み立てるものです。原子の内部状態を使った多準位のもつれを光時計の分野で実証した研究も、中性原子が持つ可能性の広さを示しています。

中性原子方式は、レーザーで原子を自在に並べる自由度の高さが強みです。しかし、原子を安定に保ち続ける難しさが今も課題です。次回は、別の方式に目を向けます。

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