SkyWater Technology, Inc.(NASDAQ: SKYT)は、米国ミネソタ州ブルーミントンに本社と主力工場を置く半導体の受託製造会社です。ファウンドリとは、自社では製品を売らず、他社の設計したチップの製造を請け負う会社を指します。同社は米国資本で唯一のピュアプレイ・シリコンファウンドリとされています。2026年7月31日にIonQによる買収が完了し、その完全子会社となりました。ただし同社が量子業界の製造を担ってきたのは、買収より前からです。
工場の起源は古く、1991年にControl Data Corporationから分離した事業にさかのぼります。その後Cypress Semiconductorの子会社「Cypress Minnesota Inc.」となりました。Cypressが保有した25年間で、130nm・90nmから65nmへ工程が更新されています。2017年3月、ミネソタ州の投資会社Oxbow Industriesの出資により、Cypressからブルーミントン工場を約3000万ドルで取得し、SkyWater Technologyが発足しました。発足後まもなく、米国防総省のTrusted Foundry Cat 1A認定を取得しています。これはウェハ製造や設計などをTrusted Supplierとして提供できる資格です。2021年3月には新規株式公開を申請し、NASDAQにSKYTで上場しました。
同社の工場はいずれも200mmウェハを扱います。ブルーミントンの工程は90nmと130nmです。最先端の微細化を追う工場ではありません。そのうえで同社は、ニオブ系の超伝導材料を標準の工程として組み込んでいるとしています。超伝導量子ビットの製造に使われる材料です。高性能な導波路やフォトニクス構造、ヘテロジニアス集積、先進的な配線、特殊材料も手がけるとしています。線幅の細さではなく、作れるものの幅で立つ構図です。
量子分野の取り組みとしては、D-WaveのAdvantage2プロトタイプのプロセッサが同社の米国内200mm工場で製造されました。PsiQuantumとはフォトニック量子ビットで協業しています。QuamCoreとは、単一磁束量子(SFQ)というデジタル方式を使う超伝導制御装置の共同開発で、数百万ドル規模の契約を結んでいるとしています。
2020年には、EfablessおよびGoogleと組み、オープンソースのチップ製造プログラムを実施しました。130nmのプロセス・デザイン・キット(PDK、設計に必要な製造情報一式)をApacheライセンスで公開しています。半導体の製造情報が無償公開された初期の事例として知られます。ファウンドリとしては珍しい振る舞いです。
規模も変わりました。2025年6月30日、Infineonのオースティン工場であるFab 25の取得を完了しています。約1,000人が加わり、年産およそ40万枚のウェハ着工能力と、年間3億ドル以上の売上寄与が見込まれるとしています。背景にはInfineonとの複数年の供給契約があり、10億ドル超が見込まれるとされています。
IonQによる買収は2026年1月26日に約18億ドルで合意が発表され、7月31日にFTCの承認を経て完了しました。SkyWater株主は1株につき現金15.00ドルとIonQ普通株式0.4883株を受け取っています。同社はIonQの完全子会社として存続し、Thomas Sonderman氏がCEOを続けるとされています。ピュアプレイのファウンドリとして、D-WaveやPsiQuantumなど他の量子企業への受託も維持するとしています。競合他社のチップを作り続けるファウンドリを、競合の1社が所有する形になりました。本記事の内容は2026年8月17日時点の情報にもとづきます。最新の状況は投資家向けページで確認できます。


