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量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/12 14:30(日本時間)
%は前日比・グラフは直近10営業日の推移 — 株価とニュースの突き合わせ / 業界の関係図
編集部

【編集部】IBM、量子コンピュータ大規模化への壁に一歩前進

要約

IBMがモジュール式クライオジェニックセルの接続に成功し、配線スペースを最大12倍に拡大したと発表した。2027年に1,000キュービット級システム、2029年には誤り耐性型量子コンピュータ「Starling」の実現を目指す計画の一部だ。冷却と配線の壁を越えた先に、実際の計算性能はついてくるのか。

今週、編集部が選んだのは、IBMが発表したモジュール式クライオジェニックセルの接続に関するニュースだ。IBM、2029年のStarling量子コンピュータに向けてマルチチップアーキテクチャを拡張するためモジュール式クライオジェニックセルを接続。理由は単純で、量子コンピュータが「実用サイズ」に育つために避けて通れない課題に、具体的な一歩が示されたからだ。

まず何が起きたかを整理する。クライオジェニックセルとは、量子ビット(量子コンピュータの計算単位で、キュービットとも呼ばれる)を極低温に保つための冷却容器のことだ。IBMは、この冷却容器を複数つなぎ合わせ、実際に冷やすことに成功したと発表した。これは、1つの大きなチップではなく複数の小さなチップを組み合わせて性能を伸ばす方式で、マルチチップアーキテクチャと呼ばれる設計の一部だ。今回の新方式では、配線を通すスペースが最大12倍に広がるという。配線が増やせれば、それだけ多くのキュービットを制御できるようになる。IBMはこの技術を土台に、2027年までに1,000個以上のキュービットを持つ統合システムを作り、2029年には誤りに強い量子コンピュータ「Starling」を提供する計画を掲げている。誤りに強い量子コンピュータは、フォールトトレラント量子コンピュータと呼ばれ、計算途中で起きる小さな誤りを自動で訂正しながら、長く複雑な計算をやり遂げられる機械を指す。

このニュースが業界にとって持つ意味は、単なる技術デモを超える。量子コンピュータを大きくしようとすると、キュービットの数を増やすほど配線や冷却の問題が重くのしかかる。今回の発表は、その物理的な壁に対する具体的な解決策を示した点で、ロードマップの空白を埋める一歩だと言える。同じ週には、日本の分子科学研究所が中性原子方式の量子コンピュータ「春海」を稼働させたニュースもあった。日本、初のフルスタック中性原子量子コンピュータ「春海」を稼働開始。冷却容器をつなぐIBMの超伝導方式とは異なる原理だが、どちらも「まず数十から数百のキュービットで動かし、将来は1万規模を目指す」という共通の道筋を歩んでいる。方式は違っても、業界全体が同じ課題、つまり大規模化と誤り訂正の両立に向かっていることがよく分かる。

ただし、今回の発表だけでは決定的とは言えない。まだ示されていないのは、接続したクライオジェニックセルの中で、実際にキュービット同士が正しく連携して計算できるかどうかだ。冷却と配線の物理的な仕組みが整ったとしても、それを使って誤り訂正を伴う計算が動くかどうかは別の話になる。次に注目すべきは、2027年に掲げられた1,000キュービット級システムが、実際に稼働し、性能の数字とともに示されるかどうかだろう。そこで初めて、今回の一歩が本当にStarlingへの道を開いたと言えるようになる。

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