DeepSeekが2026年9月10日、DeepSeek-V4.1-Flash を公開しました。重みは Hugging Face に置かれ、ライセンスはMITです。
大きいのに、動くのは一部だけ
このモデルの要点は規模ではなく、そのうち実際に動く量です。
| 全体の規模 | 552B |
| 入力を読むとき動く量 | 8B |
| 文章を書くとき動く量 | 16B |
| 文脈の長さ | 最大100万トークン |
混合エキスパート(MoE)という作りで、層ごとに384の専門家を持ち、1トークンにつき6つだけを選んで使います。全部を毎回動かさないので、規模の割に費用が抑えられます。
構成を変えた:エンコーダとデコーダを分ける
前の版から変わったのはCausal Encoder-Decoder(CED)という構成です。40層のうち前半20層をエンコーダ、後半20層をデコーダとし、デコーダが使うKVキャッシュを、エンコーダの最終層から一度だけ作ります。
従来はデコーダの各層が自前でKVキャッシュを持っていました。それをやめたことで、入力が長い使い方——資料を大量に読ませてから作業させる、いわゆるエージェント的な用途——で効きます。
あわせて Compressed Sparse Attention 2(CSA2) により、KVキャッシュの容量を前版 V4-Flash の約4分の1に減らしています。KVキャッシュはメモリを最も食う部分なので、ここが4分の1になる意味は大きいです。KVキャッシュは FP4(E2M1)で持ちます。
画像を直に読む
視覚エンコーダ(DeepSeek-ViT)と2層のMLPを内蔵し、画像とテキストを同じモデルで扱います。後付けではなく最初から組み込まれている、という位置づけです。
視覚まわりの数字は次のとおりです。
| ベンチマーク | 値 |
|---|---|
| DocVQA | 95.6 |
| RefCOCO-avg | 86.0 |
| CVBench | 77.9 |
| MMMU-Pro | 56.5 |
得意なところと、そうでないところ
⚠️ 公開されている比較表は広く、勝っている項目と負けている項目がはっきり分かれます。都合のよい数字だけを並べると実像を見誤るので、両方を挙げます。
上位に立っている項目
| ベンチマーク | V4.1-Flash | 比較 |
|---|---|---|
| Codeforces(レーティング) | 3471 | V4-Pro 3348 / V4-Flash 3289 |
| Terminal-Bench 2.1 | 90.6 | Opus-5.0 89.1 / GPT-5.6 88.8 |
| DeepSWE v1.1 | 74.2 | Opus-5.0 74.0 / GPT-5.6 73.0 |
| CyberGym | 88.1 | GPT-5.6 84.5 |
| AutomationBench | 54.8 | Opus-5.0 50.3 |
| HLE(道具あり) | 63.9 | Opus-5.0 63.6 |
離されている項目
| ベンチマーク | V4.1-Flash | 首位 |
|---|---|---|
| HLE(道具なし) | 36.8 | Opus-5.0 56.3 |
| Terminal-Bench 4.0 | 31.2 | Opus-5.0 51.8 |
| Terminal-Bench 3.0 | 30.0 | Opus-5.0 43.3 |
| ProgramBench | 20.3 | Opus-5.0 37.0 |
| NL2Repo-Bench | 64.0 | Opus-5.0 75.3 |
⚠️ Terminal-Bench は 2.1 で首位、3.0 と 4.0 では大きく離されています。同じ名前でも版によって難度が違い、版を書かずに「Terminal-Bench で首位」と言うと誤解を生みます。
実務で気をつける点
- 推論の努力を1〜100の整数で連続的に指定でき、費用と精度を調整できます
- 推奨は temperature 1.0、top_p 0.95 または 1.0、max_tokens は 256K 以上
- ⚠️ このリリースには Jinja 形式のチャットテンプレートが含まれません。
encodingフォルダに Python の参照実装があり、そちらを使います - vLLM・SGLang・Transformers・Docker Model Runner で動かせます
どう見るか
費用のかかり方を作りで変えにきたモデルです。552B という数字は目を引きますが、実際に動くのは8B〜16Bで、KVキャッシュも4分の1です。資料を大量に読ませる使い方ほど差が出ます。
一方で、道具を使わない純粋な難問(HLE 36.8 対 56.3)や、新しい版の Terminal-Bench では差があります。用途を選べば有力、というのが数字の読み方だと思います。MITライセンスで重みが公開されているため、手元で確かめられる点も実務では効きます。




