9月21日、夜のニュースコーナー「クオンタムビュー」をお届けします。今日は2本のニュースが入ってきました。まずは全部を簡単にご紹介して、そのあと気になったものを詳しく見ていきます。どうぞ最後までお付き合いください。
今日の2本をご紹介します。1本目は、【寄稿】ゼロから学ぶショアのアルゴリズム(第1回):全体フローと量子回路の役割です。2本目は、Atom Computingとは?です。この中から、まず1本目、ショアのアルゴリズムの解説記事を詳しく見ていきます。
1本目です。【寄稿】ゼロから学ぶショアのアルゴリズム(第1回):全体フローと量子回路の役割。この記事は、量子コンピュータがRSA暗号を解く鍵とされるショアのアルゴリズムについて、全体の流れを3段階に整理し、量子回路が担当するのは真ん中の位数発見だけだと説明しています。久保田さん、この整理は業界でどう受け止めればいいでしょうか。
この記事が示したのは、ショアのアルゴリズムの全体像を、量子が担う部分と古典が担う部分に明確に切り分けたことです。これで、どこにリソースを投じるべきかが初めて見える形になりました。具体的には、量子回路で最も難しいのは制御付きモジュロべき乗という計算で、ここをどう効率的に組むかが実装の鍵になります。まだ示されていないのは、この回路を実際の誤り耐性量子コンピュータ上で動かしたときの性能評価です。次に、実機で位数発見が動いたという報告が出れば、RSA暗号の破壊が現実味を帯びてきます。
「モジュロべき乗」という言葉が分かりにくいですね。これは、ある数を別の数で割った余りを計算する操作のことです。つまり、量子コンピュータはこの余りの計算を超高速に行える可能性がある、ということですね。
2本目です。Atom Computingとは?。この記事は、アメリカの企業Atom Computingが、レーザーで原子を並べて計算する「中性原子方式」の量子コンピュータを開発し、1,200個以上の量子ビットを制御できるシステムを実証したことを伝えています。誤り訂正の実証にも成功したとのことですが、久保田さん、この規模はどのくらい画期的なのでしょうか。
1,200個という数字は、現在の超伝導方式の主要プレイヤーと比べても、量子ビット数で先行していることを示します。中性原子方式は、量子ビットを増やしやすいという利点があり、誤り訂正に必要な予備の量子ビットを用意しやすいのが強みです。実際に何が変わるかというと、この方式が実用化に向けて有力な選択肢の一つであることが、今回の実証で明確になりました。ただ、まだ示されていないのは、この大規模な量子ビットをどれだけ安定して動作させられるかです。次に、誤り訂正を行った状態で、意味のある計算を実行できたという報告が出れば、この方式の優位性が決定的になります。
「誤り訂正」という言葉を言い換えますね。計算中に起きるエラーを自動で見つけて直す技術のことです。つまり、Atom Computingは、量子ビットを大量に並べられるだけでなく、エラーを直す仕組みも実証し始めた、ということですね。
今日の2本を並べてみると、量子コンピュータの開発が、理論の整理とハードウェアの大規模化という、異なる2つの軸で進んでいることが分かります。ショアのアルゴリズムの記事は、どこを最適化すべきかを明確にし、Atom Computingの実証は、その最適化を試す土台が整いつつあることを示しています。まだ両者は直接結びついていませんが、次に見るべきは、中性原子方式の実機で、ショアのアルゴリズムのような実用的な計算が動くかどうかです。
今日の米国市場です。2026年9月18日終値で、10銘柄のうち上昇4・下落6・変わらず0、平均は-0.64%でした。いちばん上げたのはIQMで+7.92%、いちばん下げたのはQuantinuumで-5.36%です。
久保田さん、今日は理論とハードウェアの両方の進展を整理していただきました。明日の夜もこの時間に、また最新の量子コンピュータ事情をお届けします。おやすみなさい。



