こんばんは。9月22日のクオンタムビューです。今日は8本のニュースが入ってきました。研究の進展、市場の動き、後量子暗号の発表、国際協力、企業の米国進出と、分野はさまざまです。まず全体を簡単にご紹介して、そのあと気になった3本を詳しく見ていきます。
まず研究の動きから2本です。超低消費電力フォトニック量子リザバーコンピュータによる多用途量子機械学習は、調整不要で動く集積フォトニック量子リザバーコンピュータの実証です。中性原子量子計算のための熱マイクロ波バスは、中性原子量子計算でマイクロ波キャビティを使う新アーキテクチャの提案です。次に市場です。【クオンタムマーケット】9月21日|量子関連10銘柄中8銘柄上昇、平均+5.71%は、9月21日の米国市場で量子関連10銘柄中8銘柄が上昇し、平均+5.71%だったという報告です。セキュリティ関連が2本です。SEALSQ、WISeKey、およびジュラ州が4,000万〜6,000万スイスフラン(4,870万〜7,300万米ドル)のポスト量子半導体パーソナライゼーションハブに関する覚書を締結は、スイスのジュラ州に後量子半導体センターを設立する覚書です。QNu Labs、インドの国家暗号評価・保証フレームワーク(NCAAF)を推進するためQShield 2.0を発表は、インドのQNu Labsが耐量子暗号プラットフォームを発表しました。国際協力が2本です。チュラロンコン大学とQunova Computing、産業研究開発のためのハイブリッド量子アルゴリズム推進に向け覚書を締結は、タイの大学と韓国の量子ソフトウェア企業による覚書です。Chulalongkorn UniversityとAIST (G-QuAT)が二国間量子技術エコシステム構築のための5年間の覚書を締結は、タイと日本の研究機関による5年間の覚書です。最後に企業の動きです。Phasecraft、バージニア州アーリントンに米国本社を設立し、政府および防衛の量子ソフトウェアパートナーシップを加速は、量子ソフトウェア企業のPhasecraftが米国本社を設立しました。この中から、SEALSQの覚書、QNu Labsの発表、Phasecraftの米国本社の3本を詳しく見ていきます。それでは1本目からです。
1本目はSEALSQ、WISeKey、およびジュラ州が4,000万〜6,000万スイスフラン(4,870万〜7,300万米ドル)のポスト量子半導体パーソナライゼーションハブに関する覚書を締結です。後量子暗号とは、量子コンピュータに解読されない新しい暗号方式のことです。6年間で4,000万〜6,000万スイスフラン、日本円で4,870万〜7,300万米ドルを投じ、後量子半導体センターを設立します。直接雇用は8年目に250人超です。久保田さん、この投資はどのような意味を持つのでしょうか?
変わるのは、後量子暗号の「組み込み先」ができることです。QS7001は、NIST(アメリカの標準化機関)が定めた暗号アルゴリズムをハードウェアに組み込んだチップで、これまで設計や試作の段階でした。今回のセンターは、そのチップに暗号鍵を注入して出荷する工程を担います。つまり、防衛や航空宇宙向けに実際の製品として供給できる体制が整う、という前進です。一方で、まだ示されていないのは、需要の具体像です。投資額は明示されましたが、収益計画はまだ出ていません。次に、armasuisseなどからの実際の発注が発表されれば、商業的に動き出す決定的な材料になるでしょう。
「パーソナライゼーション」は、チップごとに異なる暗号鍵を書き込んで出荷する作業のことです。つまり、このセンターができると、後量子暗号チップを実際の製品として供給できる体制が整う、ということですね。
2本目はQNu Labs、インドの国家暗号評価・保証フレームワーク(NCAAF)を推進するためQShield 2.0を発表です。インドのQNu Labsが耐量子暗号プラットフォーム「QShield 2.0」を発表しました。耐量子暗号(PQC)とは、量子コンピュータでも解読が難しい暗号方式のことです。2027年までに重要インフラのPQC移行が義務付けられる動きに対応します。久保田さん、この枠組みの意義はどこにあるのでしょうか?
このニュースで変わるのは、インドが後量子暗号への移行を「国として進める」実行基盤ができたことです。ここで言う暗号資産とは、システムで使われている暗号技術や鍵のことです。QShield 2.0は、どの暗号が危険かを検出し、評価し、検証する流れを1つのプラットフォームで担います。これまでは個別企業が独自に移行するしかなかったのが、国の枠組みで統一評価できるようになる、という前進です。一方、まだ示されていないのは、どの機関がいつ導入するかというスケジュールです。インド政府が具体的な導入計画を公表すれば、この枠組みが動き出す決定的な材料になるでしょう。
「暗号資産」は、ここではシステムで使われている暗号技術や鍵のことを指します。つまり、インドが国全体で後量子暗号への移行を進めるための土台ができた、ということですね。
3本目はPhasecraft、バージニア州アーリントンに米国本社を設立し、政府および防衛の量子ソフトウェアパートナーシップを加速です。量子ソフトウェア企業のPhasecraftが、米国バージニア州アーリントンに本社を設立しました。DARPA(アメリカ国防総省の研究機関)やARPA-E(エネルギー分野の研究機関)のプログラムに参加します。防衛・エネルギー分野向けの量子アルゴリズム開発を進めます。久保田さん、この米国進出の狙いはどこにあるのでしょうか?
このニュースで変わるのは、Phasecraftが米国の防衛・エネルギー分野に直接関わる窓口を持ったことです。DARPAの量子ベンチマーキング・イニシアチブに参加し、ARPA-Eのプログラムでも選定されています。量子ベンチマーキングとは、量子コンピュータが実際にどれだけ使えるかを測る作業です。これは、量子ソフトウェア企業が「研究開発のパートナー」として政府機関から認められた、という前進です。一方で、まだ示されていないのは、これらのプログラムがどのような成果を出し、商業収益につながるかという点です。次に、具体的な納入実績や政府機関との正式な契約が発表されれば、この動きが確かなものになるでしょう。
「量子ベンチマーキング」は、量子コンピュータが実際にどれだけ使えるかを測る作業のことです。つまり、Phasecraftが米国政府機関から量子アルゴリズムの開発パートナーとして認められた、ということですね。
今日の3本を並べると、後量子暗号の「供給側」と「導入側」の両方が動いた一日でした。SEALSQとQNu Labsは暗号移行を支える供給体制を、Phasecraftは政府向けアルゴリズム提供の窓口を米国に作りました。ただし、これらはまだ「準備が整った」段階です。実際の受注や導入計画の具体化は、まだ見えていません。次に見ておくべきは、各国政府がいつ、どの機関から導入を始めるか、という動きです。
今日の米国市場です。量子関連10銘柄のうち、上昇が8銘柄、下落が2銘柄、変わらずが0銘柄で、平均は+5.71%でした。いちばん上げたのはArqitの+16.89%、いちばん下げたのはQuantinuumの-0.83%でした。
久保田さんの話では、各国の導入計画が次の焦点ですね。明日の夜もこの時間に、クオンタムビューでお会いしましょう。




