こんばんは、クオンタムビュー。9月26日の夜です。今日は量子コンピュータ関連のニュースが10本入ってきました。全部をざっとご紹介して、そのあと気になったものを詳しく見ていきます。どうぞ最後までお付き合いください。
まず、企業の人事から。D-Wave Quantum、Oxford Quantum Circuits、Bifrost Electronicsが新しい役員を発表しました。Who’s News: D-Wave Quantum、Oxford Quantum Circuits、Bifrost Electronicsにおける戦略的人事。次に、ETSIが量子乱数生成器の技術的限界と実装上の脆弱性を特定する報告書を公開しました。ETSIは量子乱数生成器における技術的限界と実装上の脆弱性を特定する (ETSI TR 104 171)。教育の話題では、米バージニア州の公立学区が高校に4量子ビットの量子コンピュータを設置すると発表しました。フェアファックス郡公立学校(FCPS)、スカイビュー高校にXeedQ 4量子ビット量子コンピュータを設置へ。欧州では、Creotech Quantumが主導する量子鍵配送プロジェクトが完了し、商業生産に移行します。欧州委員会がeCAUSISの結果を承認、Creotech QuantumはQKDシステムの商業展開を準備。同じくCreotechが、宇宙向けの量子検出器の開発で欧州宇宙機関と契約しました。Creotech Quantum、宇宙グレードの量子検出器に関する233万ユーロ(266万米ドル)のESA契約を獲得。インドでは、国防研究開発機構がスタートアップと極低温冷凍機の国産化契約を結びました。DRDO、20 mK希釈冷凍機を対象にスタートアップZero mK Indiaと初の高価値TDF契約を締結。アメリカでは、政府機関と大学が物流最適化のための量子プロジェクトを始めます。CGI Federal、米国防総省調達局(DLA)、およびテネシー大学ノックスビル校が、サプライチェーン回復力のための「Quantum Pathfinder」イニシアチブを開始。マレーシアでは、初の量子コンピューティングハードウェア企業が研究拠点を設けました。UTM Technovation Parkは、マレーシア初の量子コンピューティングハードウェア企業であるAQSolotlのR&D拠点となる。研究論文からは、少ない量子ビットで誤りを訂正する符号の設計原理が発表されました。超高符号化率の量子符号の設計原理:少ない量子ビットで誤りを訂正する符号の作り方。さらに、ノイズのずれを利用して誤り訂正の性能を上げる手法が報告されています。ノイズモデルとのずれを手がかりに:ドリフトする量子ノイズの下で「論理ギャップ」を超えるポストセレクション。この中から、今日は3本詳しく見ていきます。1本目はeCAUSISプロジェクト完了のニュース、2本目はインドの極低温冷凍機の契約、3本目はアメリカの物流最適化プロジェクトです。
1本目は、欧州委員会がeCAUSISプロジェクトの完了を承認したというニュースです。欧州委員会がeCAUSISの結果を承認、Creotech QuantumはQKDシステムの商業展開を準備。このプロジェクトは、量子鍵配送、つまり量子の性質を使って暗号鍵を安全に送る技術の実用化を目指したもので、総予算は697万7,626.81ユーロ、およそ800万米ドルです。Creotech Quantumが統括し、オーストリアのAITとドイツのFraunhofer HHIが参加しました。承認を受けて、同社はQKDモジュールを年間1,000台、将来的には最大10,000台生産する計画です。久保田さん、この承認で実際に何が変わるのでしょうか。
そうですね、有沢さん。この承認で、Creotech QuantumのQKDシステムが研究開発の段階を卒業して、実際に製品として売り出せる状態になった、というのが大きいです。これまでは実験室の中の技術だったものが、商業生産に入ることで、欧州の量子通信インフラ、EuroQCIという計画に実際に組み込まれていく道が開けました。ただ、まだ示されていないのは、このQKDモジュールが実際にどれだけの性能を発揮するか、という実証データです。年間1,000台という生産計画はありますが、それが実際に需要を満たすのか、また他のQKD方式との競争に耐えられるのかは、まだ分かりません。次に、実際にこのモジュールを使ったネットワークの導入事例や、第三者による性能評価が出てくれば、より決定的になるでしょう。
ありがとうございます。専門用語では『QKD』という言葉が出てきましたが、これは量子鍵配送、つまり量子の性質を使って暗号鍵を安全に共有する技術のことです。つまり、Creotech Quantumの量子鍵配送システムが、実験室から商業生産に移行する一歩を踏み出した、ということですね。
2本目は、インドの国防研究開発機構DRDOが、スタートアップのZero mK Indiaと、20ミリケルビンという極低温を作り出す希釈冷凍機の国産化契約を結んだというニュースです。DRDO、20 mK希釈冷凍機を対象にスタートアップZero mK Indiaと初の高価値TDF契約を締結。この契約は、総額500億ルピー、およそ5,220万米ドルの基金の最初のプロジェクトで、量子コンピュータに必要な超低温環境を国内で作ることを目指しています。久保田さん、この契約の意味するところは何でしょうか。
この契約のポイントは、インドが量子コンピュータの重要部品である極低温冷凍機を、国内で作ろうとしている点です。20ミリケルビンは絶対零度よりわずかに高い温度で、超伝導量子ビットを動かすには欠かせません。これまでインドはこうした装置を海外からの輸入に頼っていましたが、今回の国産化によって、量子コンピュータ開発の基盤を自前で持つことになります。ただし、まだ示されていないのは、実際にこの冷凍機が目標の温度に達するかどうか、そして量子ビットを安定して動作させられるかという実証結果です。契約を結んだ段階ですから、これから試作機ができて、性能が公表されれば、インドの量子ミッションが本格的に動き出すと言えるでしょう。
ありがとうございます。『20ミリケルビン』という数字が出てきましたが、これは絶対零度であるマイナス273度にほぼ等しい、非常に低い温度のことです。つまり、インドが量子コンピュータに必要な超低温技術を、海外に頼らずに自国で開発しようとしている、ということですね。
3本目は、アメリカのCGI Federalが、国防総省調達局とテネシー大学ノックスビル校と共同で、物流最適化のための『Quantum Pathfinder』というプロジェクトを始めるというニュースです。CGI Federal、米国防総省調達局(DLA)、およびテネシー大学ノックスビル校が、サプライチェーン回復力のための「Quantum Pathfinder」イニシアチブを開始。これは、人工知能と量子コンピューティングを使って、紛争時の倉庫管理や在庫配置を最適化する研究で、理論ではなく実際の物流課題の解決を目指しています。久保田さん、この取り組みの新しい点はどこでしょうか。
このプロジェクトの新しい点は、量子コンピュータを実際の軍需物流の問題に適用しようとしていることです。これまでの量子コンピュータのデモは、特定の計算問題を解くことが目的でしたが、今回は倉庫管理や在庫配置という、現場の実務に直接結びつく課題を扱っています。しかも、エージェンティックAI、つまり状況に応じて自律的に判断するAIと組み合わせる点が特徴的です。ただ、まだ示されていないのは、実際に量子コンピュータが従来の方法よりどれだけ良い結果を出せるかという比較データです。今後、具体的な物流ユースケースが決まり、ベンチマークが公表されれば、量子コンピュータの実用化に向けた一歩になるでしょう。
ありがとうございます。『エージェンティックAI』という言葉が出てきましたが、これは与えられた状況を自分で判断して動くAIのことです。つまり、量子コンピュータとAIを組み合わせて、実際の物流の問題を解こうという取り組みが始まった、ということですね。
今日は3本を見てきました。1本目は欧州で量子鍵配送が商業化に移行した話、2本目はインドが極低温技術を国産化する話、3本目はアメリカが量子コンピュータを物流に応用する話です。これらに共通しているのは、量子技術が実験室を出て、実際の産業や国防の現場に組み込まれ始めた、ということです。ただ、それぞれの分野はまだ別々に動いていて、一つにまとまった流れにはなっていません。次に見ておくべきは、これらのプロジェクトが実際に成果を出せるかどうか、その実証結果が出てくるかどうかでしょう。
今日の米国市場では、10銘柄のうち上昇が6、下落が4でした。平均で0.55%の上昇です。いちばん上げたのはArqitで6.40%の上昇、いちばん下げたのはXanaduで2.35%の下落でした。
久保田さん、今日もありがとうございました。量子技術の実用化が少しずつ進んでいるのを感じます。明日の夜もこの時間に、最新のニュースをお届けします。おやすみなさい。




