Xiaomi の MiMo チームが、大規模言語モデル MiMo-V2.6-Pro-RL と MiMo-V2.6-Flash-RL を Hugging Face で公開しました(2026年9月21日、協定世界時)。どちらも重みが公開され、ライセンスは MIT です。テキスト・画像・動画・音声を1つのモデルで扱い、扱える長さ(コンテキスト長)は 100万トークン です。
公表されている数字
| MiMo-V2.6-Pro-RL | MiMo-V2.6-Flash-RL | |
|---|---|---|
| 構造 | 疎な MoE(専門家の混合) | 疎な MoE |
| 総パラメータ | 1.02T(1兆200億) | 309B |
| 1トークンあたりに使うパラメータ | 42B | 15B |
| 層(全体 / 局所注意 / 全体注意) | 70 / 60 / 10 | 48 / 39 / 9 |
| 専門家(全体 / 使う数) | 384 / 8 | 256 / 8 |
| コンテキスト長 | 100万トークン | 100万トークン |
| 扱えるもの | テキスト・画像・動画・音声 | 同じ |
| ライセンス | MIT | MIT |
画像は 6億8,100万パラメータの視覚エンコーダ、音声は 3億800万パラメータと 1億2,700万パラメータの2つのエンコーダで読み込みます。次の7トークンをまとめて予測する小さな下書き用の層(5層)も載せ、生成を速めています。
Pro は「シリーズの旗艦」、Flash は「効率とのバランスをとった版」と位置づけられています。
性能:同社が載せた比較表
モデルカードには、コード・エージェント・サイバーセキュリティ・画像を使うエージェントの4分野で、自社の前の版(MiMo-V2.5 Pro)と他社のモデルを並べた表があります。主なものを抜き出します。
| 試験 | V2.6 Pro | V2.6 Flash | V2.5 Pro | Claude Opus 5 | GPT-5.6 Sol | Claude Fable 5 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| DeepSWE v1.1 | 71.9 | 67.9 | 19.0 | 74.0 | 73.0 | 70.0 |
| ProgramBench | 26.5 | 26.0 | 12.5 | 37.0 | 25.0 | 33.0 |
| AutomationBench v1.0.6 | 53.1 | 52.3 | 16.0 | 50.3 | 45.8 | 46.2 |
| Toolathlon-Verified | 76.9 | 73.6 | 49.1 | 80.6 | 74.9 | 77.9 |
| Terminal Bench 4.0 | 34.9 | 28.8 | 1.5 | 49.0 | 39.9 | 42.4 |
| Terminal Bench 2.1 | 89.9 | 87.6 | 65.2 | 89.1 | 88.8 | 84.3 |
| OSWorld-Verified | 82.0 | 80.8 | - | 83.4 | 83.0 | 86.0 |
| JobBench | 62.0 | 61.2 | 25.0 | 65.7 | 45.4 | 57.4 |
| ExploitBench | 47.9 | 25.3 | 16.6 | 70.0 | 78.5 | 78.0 |
読みどころ
前の版からの伸びが大きい。 コードの修正を自律的に進める DeepSWE は、V2.5 Pro の 19.0 から V2.6 Pro で 71.9 に、ターミナル操作の Terminal Bench 4.0 は 1.5 から 34.9 に上がっています。
Pro と Flash の差は小さい。 Flash は使うパラメータが Pro の約3分の1(15B と 42B)ですが、DeepSWE で 67.9、Terminal Bench 2.1 で 87.6 と、多くの試験で Pro に近い数字です。差が大きいのはサイバーセキュリティで、ExploitBench は Pro 47.9 に対して Flash 25.3 です。
他社の最上位と比べると、勝ち負けは試験によります。 表で数字が並ぶ14の試験のうち、V2.6 Pro が Claude Opus 5 を上回るのは AutomationBench・Terminal Bench 2.1・MiMo VisualCoding の3つで、Agents' Last Exam は同点、残る10は下回ります。GPT-5.6 Sol とは15の試験で8勝7敗です。サイバーセキュリティの攻撃系の試験(ExploitGym・ExploitBench・SEC Bench Pro)では、他社のモデルとの差がはっきり残っています。
表には MiMo Code Bench・MiMo Cyber Bench・MiMo VisualCoding という自社の名前が付いた試験も含まれます。CyberGym と MiMo Cyber Bench は他社のモデルの数字が載っていません。
学習のしかた
シリーズの説明の中心は強化学習です。コード・エージェント・画像・サイバーセキュリティを分野ごとに分けず、1回の強化学習でまとめて学習させた(同社は「You Only RL Once」と呼んでいます)としています。1ステップあたり 1,568 の課題について 16 通りずつ解かせる、大きな規模で回しているとのことです。
合否だけでは合格した解答どうしの良し悪しを比べられないため、同じ課題に対する複数の解答を比べて採点する仕組み(Groupwise Reward Synthesis と Groupwise Advantage Redistribution)を入れ、より短い手順・少ないトークンで解く方向へ寄せているといいます。
動かすには
どちらも SGLang と vLLM での動かし方が示されています。Pro は SGLang の例で2台のサーバーにまたがる構成、vLLM の例で8枚の GPU への分割、Flash は vLLM の例で4枚への分割です。重みのほか、Xiaomi の API(Xiaomi MiMo Open Platform)や OpenRouter などでも提供されています。
どう見るか
1兆パラメータ級のモデルを MIT ライセンスで出したこと自体が、公開モデルとしては大きな選択です。同社の表を見る限り、V2.6 Pro は前の版から大きく伸び、一部の試験では他社の最上位モデルに並ぶか上回ります。一方で、攻撃系のセキュリティ試験や Terminal Bench 4.0 などでは差が残っており、「すべてで並んだ」とは言えません。Flash が Pro に近い数字を出している点は、手元の設備で動かす側にとって実用的な意味があります。
モデルカードは MiMo-V2.6-Pro-RL と MiMo-V2.6-Flash-RL(Hugging Face)、技術レポートは 同ページの PDF にあります。




