こんばんは、10月19日のクオンタムビューです。今日は2本のニュースが入ってきました。まず全てを簡単にご紹介し、そのあと気になったものを詳しく見ていきます。
まず、NVIDIAが欧州の科学研究を支援する活動に参加し、AIインフラや研修を提供すると発表しました。NVIDIA、欧州の科学研究支援活動に参加——AIインフラや研修を提供
そして、量子コンピュータの開発の流れが「正反対」に変わりつつあるという寄稿記事です。アプリは生成AIが書き、本体は半導体の量産ラインで作られるようになる、という内容です。【寄稿】量子コンピュータは「正反対の流れ」に入った――アプリは生成AIが書き、本体は半導体の量産ラインで作る
この中から、まず1本目、NVIDIAの欧州支援の発表から詳しく見ていきます。
NVIDIAは2026年10月15日、欧州委員会の「AI in Science Enablers Initiative」に参加し、研究者向けにオープンソース技術や計算リソース、トレーニングを提供すると発表しました。欧州ではNVIDIAの技術を使うスーパーコンピュータ35台が開発中だということです。NVIDIA、欧州の科学研究支援活動に参加——AIインフラや研修を提供
久保田さん、この35台のスーパーコンピュータが完成すると、欧州の研究には具体的にどんな変化が出るとお考えですか?
まず、この発表で前進したのは「支援の形が具体化した」ことです。これまでNVIDIAは欧州の研究に技術を提供してきましたが、今回はオープンなモデルや教材、AIファクトリーとの連携まで、研究者が実際に使える資源の全体像が示されました。35台のスーパーコンピュータが動けば、気候科学や創薬の分野で、これまで手が出せなかった規模の計算を欧州の研究者が自前で回せるようになるはずです。
一方、まだ示されていないのは費用と期間です。投資額や完成時期、性能の詳細は資料にありません。次に「どの施設でいつ動き始めるか」が具体的に出てくれば、この構想が本当に動き出したと判断できます。
「AIファクトリー」という言葉は、AIの計算を専門に行う施設のことです。つまり、NVIDIAの支援が、研究者が実際に使える計算資源や教材まで具体的に示された、ということですね。
続いて2本目の記事です。10月19日公開の寄稿で、量子コンピュータの開発がこれまでと正反対の流れに入ったとしています。本体は研究室で手作りするのではなく半導体の量産ラインで作り、アプリは専門のエンジニアではなく生成AIが書くようになる、という内容です。【寄稿】量子コンピュータは「正反対の流れ」に入った――アプリは生成AIが書き、本体は半導体の量産ラインで作る
久保田さん、この流れの転換は、実際にどのくらいのスパンで進むとお考えですか?
まず、この寄稿が指摘する転換は、量子コンピュータの「つくる人」と「使う人」の間にある壁がなくなることです。これまで専門家に頼まなければならなかったアプリ開発が、生成AIと課題を知る担当者自身の手に移り、本体も工場で量産されてデータセンターに並ぶ。そうなれば、量子コンピュータは一部の研究室の装置ではなく、計算資源の一つとして扱えるようになります。
まだ示されていないのは、その具体的な時間軸です。生成AIが回路を書いた例は古典計算機上での検証が中心で、実機での性能がどこまで出るかは分かりません。量産ラインも発表は相次いでいますが、歩留まりや性能のばらつきのデータは出ていません。次に、実機で生成AIが書いた回路が従来手法を上回る結果や、量産チップの品質データが出れば、この流れは決定的になるでしょう。
「古典計算機」という言葉を、普通のコンピュータと言い換えましょう。つまり、生成AIが書いた回路や量産チップは、まだ実機での性能が確認されておらず、実物での結果が出れば流れが決定的になる、ということですね。
そうですね、今日の2本は、計算資源を「誰が持つか」という点で対照的です。NVIDIAの発表は、AIの計算資源を欧州の研究者に広く開放する動き。一方の量子の寄稿は、本体を量産してデータセンターに並べ、アプリを生成AIで作ることで、量子の計算資源も同じように広く使えるようにする未来を描いています。ただ、両方ともまだ「発表」の段階で、NVIDIAの支援は費用や完成時期が示されておらず、量子も実機での性能が確認されていません。次に見るべきは、量子の場合は実機で生成AIが書いた回路が従来手法を上回る結果が出るかどうか、NVIDIAの場合はどの施設でいつスーパーコンピュータが動き始めるか、の2つです。
今日の米国市場について、1つだけ触れます。10銘柄のうち上昇0・下落10・変わらず0、平均は-7.48%でした。いちばん上げたのはQuantinuumで-0.35%、いちばん下げたのはArqitで-11.82%です。
量子の実機での結果と、NVIDIAの施設の具体化、この2つが次の注目点です。今夜はここまで、また明日の夜もお会いしましょう。




