News
量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/20 23:30(日本時間)
%は前日比・グラフは直近10営業日の推移 — 株価とニュースの突き合わせ / 業界の関係図
週間まとめ

量子コンピュータ業界 週間まとめ:IonQの大型買収と誤り訂正の実機実証

要約

今週の量子コンピュータ業界は、IonQが最大13億ドルでのElisity買収と20億ドルの公募を発表。Googleはマジック状態育成の初のハードウェア実装をScience誌で報告した。ハードウェアではRIKENの99.9%超の高忠実度制御やD-Waveの3D量子シミュレーション実証などが相次いだ。

今週のアクセス動向

今週のサイトアクセスは、Organic Socialからの流入が最も多く、次いでDirect、Referral、Organic Search、AI Assistantの順となっています。よく読まれた記事としては、QuantinuumとHQSによる21スピンNMRスペクトルのシミュレーション、10月13日のクオンタムビュー、IonQの「Walking Cat」設計図、10月10日のクオンタムビュー、IonQのqLDPC誤り訂正実証などが上位に入りました。IonQ関連の記事が複数含まれています。

ハードウェアの動き

今週のハードウェア分野では、複数の方式で実証実験や製品発表が相次ぎました。シリコンスピン方式では、RIKENなどの研究チームが5量子ビットのシリコン量子ドットアレイで99.9%超の同時高忠実度制御を実証しています。これは単一の共有マイクロ波制御線を用いたもので、配線削減にも貢献する内容です。D-Waveは、728量子ビットを用いた高次トポロジカル絶縁体の3次元量子シミュレーションをAdvantage2プロセッサ上で実証しました。また、イタリア初のオンプレミス型アニーリング量子コンピュータをロンバルディアに納入しています。

光量子方式では、ORCA ComputingがPT-3光量子システムをロンドンのデータセンターに設置し、NVIDIAのGPUと組み合わせて産業応用を目指します。NVision Quantum Technologiesは、フォトニック集積アーキテクチャによる分子量子コンピューティングへの拡大を発表しました。常温動作では、SAXON QとFraunhofer IWUが商業用常温量子コンピュータで3量子ビットのGrover探索を実証しています。

製造基盤では、Anderonが300mmウェーハ製造向けの同社初の超伝導量子PDKを発表しました。IBMのプロセスをライセンスしたもので、米国商務省から20億ドルの支援を受けています。また、Chalmers Next Labs、ConScience、NQFFは超伝導量子ビットチップの国際輸送後の安定性を検証し、マイクロ波周波数やT1コヒーレンス時間が基準値の1%以内で維持されることを確認しました。

ソフトウェア・アルゴリズムの進展

ソフトウェア分野では、量子回路の発見や最適化をAIで効率化する動きが目立ちました。ハーバード大学、Anthropic、QuEraの研究チームは、LLMを使用した進化的AIフレームワークを発表し、耐故障性量子回路の時空間コストを最大9,100倍以上削減できるとしています。FirstQFMは、量子基盤モデルを用いてQuantWare QPU上の量子ゲート時間を33%短縮しました。

高水準プログラミング環境の整備も進んでいます。Open Quantumは、Qrispのネイティブ統合を発表し、IonQ、Rigetti、IQM、AQTのQPU上でベンダー固有のコードを書かずにプログラムを直接実行できるようにしました。EigenOrbitは、マルチバックエンド量子実行向けのオープンソースライブラリeigenkit 1.0をApache 2.0ライセンスで公開しています。

応用研究では、Kipu QuantumがQuEraの256量子ビット中性原子プロセッサ上での分子毒性分類を実証し、バランス精度を0.55から0.70に向上させました。Terra QuantumとSchaefflerは、材料モデリングのためのハイブリッド量子機械学習に関する査読付き研究を発表し、古典モデルより約13%高い予測精度を達成しています。Google Quantum AIは、普遍的な論理回路向け仮想誤差キャンセル(VEC)を発表し、数値シミュレーションで論理エラー率を1,600倍以上削減できるとしています。

誤り訂正・耐障害性の実証

誤り訂正分野では、実機での実証やアーキテクチャ、デコーダに関する発表がありました。Google Quantum AIはScience誌で、Willowプロセッサ上でのマジック状態育成の初のハードウェア実装を発表しました。40倍のエラー削減と99.99(1)%の論理忠実度を達成し、従来の蒸留法に比べ物理量子ビットの占有を大幅に削減する内容です。また、Google Quantum AI、Google DeepMind、MITの研究チームは、標準的な2D表面符号と比べて物理量子ビットのオーバーヘッドを30倍以上削減するモジュール型双曲符号をarXivで発表しました。評価は回路レベルシミュレーションによるものです。

IonQは、スケジュール化されたqLDPC誤り訂正をarXivで発表し、論理クリフォード演算で最大74倍、論理トフォリゲートで最大5倍の高速化を達成しています。RiverlaneとNVIDIAは、GPU処理を用いた加速QECデコーダ較正を実証し、H100 GPUを使うことでトレーニング時間を約180秒から2.8秒に短縮しました。Alice & Bobは、NVIDIA NVQLinkを介したLDPC-catコードのGPUデコードを実証しました。合成データでのオフライン検証ですが、758個のcat量子ビットチップで100個の論理量子ビットを実現し、サイクルあたりの論理誤り率を10⁻⁸未満に抑える設計です。

パートナーシップとエコシステム拡大

企業間・機関間の連携も活発でした。IonQとケンブリッジ大学は、キャベンディッシュ研究所にQuantum Innovation Centreを開設し、256量子ビットのSuperion量子コンピュータを配備しました。Kipu QuantumとNTT DATAは、エンタープライズ量子コンピューティングおよびQMLアプリケーションの拡大で提携し、約20万人の従業員向けにQPUアクセスとトレーニングを提供します。Classiqは、FreeYa Mind Campusと提携しルーマニアに量子アプリケーションハブを立ち上げます。

Terra Quantumは、QuEra Quantum Allianceに参加し、同社のクラウド型SaaSプラットフォーム「TQ42」を提供します。Swinburne UniversityとIQMは、オーストラリアとヨーロッパの量子エコシステムを前進させるための国際パートナーシップを締結しました。SkyWaterとD-Waveは、複数年にわたる契約で量子製造パートナーシップを延長しました。Dirac Labsは、Wisconsin Security Research Consortiumに参加し、量子PNTシステムの展開を進めます。

資金調達とM&A

資金調達・M&Aでは大型の動きがありました。IonQは、ゼロトラストセキュリティ企業Elisityを最大13億ドルで買収します。耐量子暗号とゼロトラスト基盤を統合し、「今すぐ収穫、後で解読」型の脅威に対処する内容です。また、IonQはHeights Capital Managementが購入する20億ドルの株式公募の価格設定を発表しました。

新興企業の調達も続いています。Qilimanjaro Quantum Techは、シリーズAファーストクローズで1,960万ユーロ(2,190万米ドル)を調達しました。Infleqtionは、Innovate UKから900万ポンド(約1,200万米ドル)の助成金を獲得し、リュードベリ量子RFセンシングを実運用へ移行します。EMode Photonixは、Ground State Ventures主導で100万ドルのプレシード資金調達を完了しました。

公共投資も進んでいます。ニューヨーク市とNYUは、総額2億8,400万ドルの量子製造施設QFabを設立します。米国エネルギー省ARPA-Eは、量子計算化学プログラムQC3を開始し、3年間で10チームに3,700万ドルを配分します。NVIDIAは、英国の新興企業5社への新規投資計画を発表し、量子誤り訂正のRiverlaneも含まれています。

政策・規制の動き

政策面では、耐量子暗号への移行が具体的なガイドラインとして示されました。ドイツの連邦機関は、EUのポスト量子ロードマップに整合する連邦共同PQC移行ガイドラインを発行しました。2026年末の準備、2030年の高リスク移行、2035年の完全移行という3段階のスケジュールが示されています。欧州量子産業コンソーシアム(QuIC)は、EUデュアルユース管理の調和を求めるポジションペーパーを発表しました。

米国では、商務省のCHIPS法助成金に関する記事が公開されました。量子コンピューティング企業への最大1億ドルのCHIPS法助成金の確定に加え、2026年3月以降、国内製造が特許異議申立の受理判断に考慮されるため、製造発表が特許紛争に影響する可能性が指摘されています。

学術研究のトピック

学術研究では、量子ネットワークや新しい物理現象の解明に関する成果が発表されました。オックスフォード大学は、ストロンチウムとカルシウムの2種類の原子を使い、離れたイオントラップ間で最大4量子ビットのもつれ状態を生成し、カルシウムメモリ量子ビットに10秒以上保存することに成功しました。NISTとJQIなどは、2台のレーザーで作るチップ型光周波数コムを実証しました。

アルゴンヌ国立研究所とイリノイ大学は、伝搬スピン波と超伝導回路の初のオンチップ結合を実証しました。ペンシルベニア大学などの研究チームは、オンチップ・フォトニック量子スカーミオン転送をNature Physicsで発表しています。MITの物理学者は、第一原理AIで強いランダウ準位混合における非可換エニオン秩序を解明しました。Silicon Quantum Computingは、Nature Nanotechnologyに原子精度製造への25年にわたるロードマップを発表しています。

レビュー論文も発表されました。AIと量子コンピューティングのパラダイムを評価するレビューは119件の論文を分析し、AI支援による量子最適化の利点がある一方、量子支援AIは現行ハードウェアでの実用優位性が未実証と結論付けています。

AI分野の動向

AI分野では、NVIDIA関連の発表が多くありました。NVIDIAは英国のAI安全性研究に5年間で2億5000万ドル相当の計算リソースを提供すると発表しました。また、フランスのエージェントAI投資とインフラ拡充として、スタートアップ4社への新規投資を発表しています。NVIDIAとCiscoは、AIファクトリー向け新光モジュールUSFPを発表しました。NVIDIAはOCPでAIファクトリー向けオープン基盤も発表しています。

半導体分野では、NVIDIA「RTX Spark」搭載ノートPCが6社から発売されました。価格は2,599ドルからです。NVIDIAと半導体主要各社は、CUDA-XでAI定義ファブを推進し、cuPotentialを早期アクセス提供します。

モデル公開も相次ぎました。DeepSeekはV4.1-Flash-1017を公開しました。NVIDIAとAI4Bharatはインド22言語の事前学習コーパス約2.8兆トークンを発表しました。NVIDIAはオープンなエージェント向けモデルNemotron 3.5 Super VLを発表しました。IBMはGranite Switch 4.1を発表しました。Google DeepMindは抗菌ペプチド探索を加速するAntigravity活用とGemini 4 Argonのロボティクスでの活用を発表しました。Black Forest LabsのFLUX.3 Image KleinがDiffusersに対応しました。LiquidAIは推論特化型MoEモデルLFM2.5-24B-A2Bを発表しました。

また、改造したPS5のGPUで270億パラメータのLLMを動かすPS5LM Plusや12GBのGPUで125BパラメータのMoEモデルを動かす推論エンジンStrataなど、コミュニティベースの取り組みも公開されています。メルセデス・ベンツとNVIDIAは自動運転で戦略的提携を拡大し、ボルボ・カーズもNVIDIAとの提携を拡大しています。

製品・サービスとその他の話題

製品・サービスでは、Bloq Quantumがエンタープライズ向け量子開発を支援するAIエージェントBloq Mayaの商用提供を開始しました。Terra Quantumはブロックチェーンエコシステム向け耐量子暗号移行経路を詳述したホワイトペーパーを公開しました。ポッドキャストでは、EeroQ共同創業者Johannes Pollanen氏へのインタビューとSymmatricsのWalter Raquet氏へのインタビューが公開されています。インドのMAHEはバンガロールにQ-HUB@MAHEを開設し、QuantrolOxのVIDYAQAR量子システムを配備しました。

今週はハードウェアの実証、誤り訂正技術の進展、大型の資金調達と買収、政策の具体化など、量子コンピュータ業界の複数の側面で動きが見られた1週間でした。

続きはメールでも受け取れます

新着記事のまとめを、毎日・週1回・月1回から選んでお届けします。 対談と教えて先生の続きも読めるようになります。登録も閲覧も無料です。

ログインしてメール配信を設定