6社のノートPCが10月16日に発売
NVIDIAは2026年10月16日、Windows PC向けの新しいチップ「RTX Spark」を搭載したノートPCの販売開始を発表しました。ASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoft、MSIの6社が、自社のウェブサイトと大手販売店を通じて世界で販売します。価格は2,599ドルからで、NVIDIAは価格と構成が地域によって異なるとしています。ほかのメーカーの製品も後に続く予定です。
発売時点の機種として、NVIDIAは次の製品を挙げています。
- ASUS ProArt P14 / P16
- Dell XPS 16
- HP OmniBook Ultra / OmniBook X 14
- Lenovo Yoga Pro 9n
- Microsoft Surface Laptop Ultra
- MSI Prestige N16 Flip AI+ / Prestige N16
RTX Spark は、NVIDIAが5月31日に台湾で開かれたGTC Taipei(COMPUTEX 2026と同時期)でMicrosoftとともに発表していたものです。その時点では、ノートPCと小型デスクトップPCが秋に出るとされ、AcerとGIGABYTEも後から製品を出すと説明されていました。10月16日の発表で「発売」と書かれているのはノートPCで、デスクトップ機の発売時期はこの発表では示されていません。NVIDIAは発売日に、サンフランシスコ、ベルリン、台北、北京、イスタンブール、ソウルで記念イベントを開くと案内しています。
チップの構成
RTX Spark は、GPUとCPUを1つのパッケージにまとめたチップです。5月の発表によると、GPUはBlackwell世代のRTX GPUでCUDAコアが6,144個、FP4に対応した第5世代Tensorコアを備えます。CPUは20コアのNVIDIA Grace CPUで、両者をNVLink-C2Cという接続でつないでいます。CPUの設計にはMediaTekが協力しました。10月の発表では、AI処理性能はFP4で最大1ペタフロップス、メモリはCPUとGPUで共有する統合メモリが最大128GBとされています。NVIDIAのゲーム向け記事では、CUDAコアを「最大6,144個」、CPUを「最大20コア」と書いています。
OSはWindows 11です。開発者向けの説明に「Windows on Arm向けで初めてのPyTorch-CUDAビルド」という記述があり、Armベースのプロセッサーを使ったWindows PCであることがわかります。5月の発表では、ノートPCは薄いもので14mm、軽いもので3ポンド(約1.4kg)、画面サイズは14〜16インチとされていました。
手元のPCでAIエージェントを動かす
NVIDIAが発表の中心に置いているのは、AIエージェントをクラウドではなく手元のPCで動かす使い方です。発売時点で、GitHub Copilot、Hermes、OpenClaw、Perplexity、Pi、WorkBuddyといったエージェントを、コマンドラインを使わずに導入できる仕組みを用意したとしています。
エージェントが勝手な操作をしないよう、NVIDIAの実行環境「OpenShell」とMicrosoftの「Execution Containers」で権限を管理します。5月の発表では、OpenShellは利用者のプライバシー設定に応じて問い合わせを手元のモデルに振り分けたり、クラウドのモデルに送る問い合わせから個人情報を隠したりする機能を持つと説明されていました。
モデルの面では、740億パラメーターの「Nemotron 3.5 Bolt 74B-A9B 24GB」を、対応する構成のRTX Spark機で使えるとしています。また「NVIDIA PAIR」という機能で、RTX Spark機を家庭内ネットワーク上の推論サーバーとして使い、ほかのWindows、Linux、macOSのPCからAIを呼び出せるようにします。
開発者とクリエイター向け
開発者向けには、NVIDIAとMicrosoftが、Windows on Arm向けのPyTorch-CUDAビルド、標準でネイティブ動作するPython、ネイティブのConda インストーラーを用意しました。NVIDIAによると、利用の多いPythonパッケージ上位1万5,000個のうち97%に対応しています。Windows Subsystem for Linuxも使えます。
クリエイター向けには、AdobeのPhotoshopとPremiereがベータ版でRTX Spark にネイティブ対応し、Substance 3Dも近く対応します。NVIDIAは、8Kの4:2:2形式の動画編集や、最大90GBの3Dシーンのレンダリングが、電源につながない状態でもできるとしています。ComfyUIでは、AIで生成した毎秒15コマの動画を毎秒60コマに補間する機能が加わりました。
ゲーム
NVIDIAは、1440pの解像度で毎秒100コマを超えるAAAゲームのプレイができるとしています。発売日に遊べるタイトルとして、Cyberpunk 2077、Fortnite、Marvel Rivals、World of Warcraft、NBA 2K27などを挙げています。オンライン対戦ゲームで必要になる不正防止ソフトについては、Easy Anti-CheatやBattlEyeなど主要な製品の対応を進めているとゲーム向けの記事で説明しています。EA Javelin Anticheatの対応は2027年初め、Call of Dutyは2027年、PUBG: BATTLEGROUNDSは2027年前半の予定です。AIを使った描画技術DLSS 5も発売日から使え、NBA 2K27では新しいAIモデルによりDLSS 5のフレームレートが最大1.4倍になるとNVIDIAは説明しています。
どう見るか
5月の発表で「この秋」とされていた発売時期が10月16日に確定し、機種名と最低価格2,599ドルが示されました。発売時点で6社・9機種がそろったことになります。
数字のうち、AI処理性能の1ペタフロップスはFP4という低い精度での値で、ゲームの「1440pで毎秒100コマ超」やDLSS 5の「最大1.4倍」もNVIDIA自身の説明です。第三者による測定で、機種ごとにどこまで出るかを確かめる必要があります。
仕様の書き方にも変化があります。5月の発表ではCUDAコア6,144個、CPU20コアと固定の数字で示されていましたが、10月のゲーム向け記事ではどちらも「最大」と書かれています。メモリは5月から「最大128GB」で、10月の発表ではNemotron 3.5 Bolt が「対応する構成」でのみ使えるとされています。動画編集も5月の「12K」から10月は「8K」の4:2:2に変わりました。機種や価格帯によってチップの構成やメモリ容量が異なる可能性があるため、購入の際は各メーカーの仕様表で構成を確かめることになります。




