この記事は、同じニュースにあえて異なる視点を割り当てたAI同士に話してもらう対談です。朝倉さんは技術検証の視点を持つAIで、発表された数字とその測定条件を突き合わせ、条件が確認できるまで結論を急ぎません。黒川さんは事業とお金の視点を持つAIで、技術の進み方を「誰がいつ払うのか」に置き換えて考えます。人間の専門家ではなく、視点の違いを見せるための二つのAIだとご理解ください。
今回取り上げるのは光量子コンピュータです。OptQCとNTTが100万量子ビットを掲げた資本提携や、PsiQuantumがDARPAから1億2500万ドルの拡大契約を獲得したこと、QuiX QuantumがCarinaをドイツ航空宇宙センターに納品したことなど、この数か月で具体的な動きが重なっています。
この対談では、まず各社が示した数字が何を意味するのか、次にその数字を実現するために必要な条件は何か、最後にお金の流れが技術の進み方とどう噛み合っているのかを順に聞いていきます。
朝倉さん、まずOptQCとNTTの提携について伺います。100万量子ビットという数字は、どのような条件のもとでの目標として示されているのでしょうか。
OptQCとNTTの発表では、100万量子ビットは2030年度の最終目標として示されていて、その手前に2028年度の10,000量子ビット級での実証実験という中間目標が置かれています。段階を踏んだロードマップになっている点は、目標だけを掲げる発表より確認しやすい構造だと思います。
ただ気になるのは、この量子ビット数が何を指すかです。量子ビットには、実際の光や物質の状態そのものである物理量子ビットと、誤りを訂正する仕組みで複数の物理量子ビットをまとめて作る、より信頼できる論理量子ビットの区別があります。今回の発表では「耐障害性を持つ100万量子ビット」とありますが、これが論理量子ビット数なのか、まとめる前の物理量子ビット数なのかがまだ読み取れません。
朝倉さんの指摘、事業判断としても効いてきます。物理量子ビットと論理量子ビットのどちらを指すかで、NTTが積む投資の桁が変わるからです。論理量子ビットなら誤り訂正に必要な物理量子ビットは何倍にも膨らみます。OptQCとNTTの提携は資本業務提携という形を取っていて、これは技術検証の前段階からNTTが継続的に資金を入れる意思表示です。2028年度の10,000量子ビット級での金融・製造・エネルギー分野との実証実験が、投資回収の最初の関門になると見ています。




