自然言語で書いた指示から量子回路を作り、実行し、保存して再利用する。そうしたことをまとめて扱うプラットフォームとして、Leona Quantum が公開されています。公式サイトの見出しは「A self-evolving quantum solution platform.」です。自己進化する量子ソリューションのプラットフォーム、という意味になります。副題は「Generate, run, and reuse quantum circuits.」です。対象は「証拠を必要とする研究者・技術者・チームのために」と書かれています。ここで紹介する内容は、すべて2026年8月20日時点で公式サイトに書かれていたものです。
使い方は4つの段階に番号を付けて示されています。01がDescribeで、自然言語で回路を書く段階です。02がGenerateで、回路とコードと図を生成します。03がRun & verifyで、回路を実行し、検証の結果を見ます。04がSave & useで、Studio と呼ばれる各自の作業場に保存して使います。対応する枠組みとしては、Qiskit、Cirq、PennyLane の3つが並記されています。実行の記録として、回路、コード、設定、結果、検証、出典が残るとされています。
いま動かせる先について書いておきます。実行はシミュレータで行います。サイトの記述は「the supported simulator(対応するシミュレータ)」です。料金表の記載も「Browser simulation」で、ブラウザ上のシミュレーションを指しています。実機のQPU、つまり実際の量子プロセッサへの対応については、2026年8月20日時点のサイトに記載がありません。ただ、生成した回路をそのまま実機へ投げられるようになれば、この4段階はより長く使えるものになります。対応する枠組みは Qiskit・Cirq・PennyLane です。いずれも実機のクラウド提供で広く使われているものです。次にどこまで進むのかは見ておきたいところです。
もう1つの柱が Quantum Atlas です。回路とアルゴリズムと実装コードを探せる、公開の集積という位置づけです。サイトの説明では、それぞれが何を入力にとり、何を返し、どれだけかかり、誰が証明したのかをまとめる、とされています。この公開側と、各自の Studio は分けられています。「Studio の中身は利用者のもので、そこで作ったものが公開側に流れることはない」と明記されています。
料金は1ユーザーあたりの月額で、4段階が料金ページに示されています。Free は0ドルで、公開アトラスの全体、週ごとのエージェント実行、非公開の成果物、ブラウザでのシミュレーションが含まれます。Plus は50ドルで、Free の内容に加えて週の実行回数と非公開の成果物が増え、シミュレーションの範囲が広がるとされています。Professional は240ドルで、作業場の外への共有、読み取り専用または編集可の共有などが加わります。Enterprise は420ドル以上で、利用枠を個別に取り決める形や、専任の窓口が挙げられています。ただし実行回数や保存できる成果物の具体的な上限は書かれていません。「より多く」という書き方にとどまっています。価格は2026年8月20日時点のものです。
掲げている原則は3つです。Open by default は、共有の土台が個別の作業を速くするため、アトラスを公開するというものです。Privacy by design は先に触れた Studio の扱いです。そして Evidence first として、「検査できない結果は主張にすぎない。検査は答えと一緒に届く。検査が実行できなかった場合もそう伝える」と書かれています。これは「検証済みだから正しい」という立て方ではありません。検証ができたかどうかも含めて示す、という立て方です。読む側は、検証が走らなかったという表示も結果の一部として受け取ることになります。
一方で、サイトに書かれていないことも少なくありません。運営する法人の名称と所在地は記載がありません。フッターは「© 2026 Leona Quantum」とあるだけです。創業者やチームの情報、資金調達、提携先も見当たりません。ベータなのか正式提供なのか、正式提供の時期はいつなのかも書かれていません。サイトの構成は、トップ、料金、Quantum Atlas、ワークスペース、問い合わせ、サインイン、実行、プライバシー、利用規約です。表示は英語と日本語を切り替えられます。
自然言語から量子を書く動きは、あちこちで出てきています。実験を回す側の例がPasqalのエージェントです。指示だけで実機まで到達した一方、専門家の検証が必要でした。開発基盤の側では複数プロバイダーの量子計算資源を一元利用できる「Quapp Developer」があります。教育の側ではJQCAが開設したバイブコーディング認定講座が出ています。Leona Quantum もその流れの中に置かれる1つです。どれが優れているかを判定する材料は、今回の資料にはありません。試すのであれば無料の枠が用意されています。いまはシミュレータの範囲ですが、そこで書いた回路がそのまま実機へ渡せるようになるかどうか、続報を待ちたいところです。




