blueqat news
量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/12 15:15(日本時間)
%は前日比・グラフは直近10営業日の推移 — 株価とニュースの突き合わせ / 業界の関係図
入門

【入門】量子ゲートと量子回路とは?量子コンピュータの仕組みを解説

要約

量子コンピュータの計算手順を支える「量子ゲート」と「量子回路」の仕組みを解説します。重ね合わせやもつれをどう操作し、測定して答えを取り出すのか、また誤り対策や検証の課題まで具体的に分かります。

「量子コンピュータで計算する」と聞くと、超高速なパソコンで何かを計算していると思うかもしれません。しかし実際には、パソコンの計算とはかなり違う手順を踏んでいます。今回は、その手順の中身である量子ゲートと量子回路について見ていきます。この2つが分かると、量子コンピュータが「何をしているのか」がはっきり見えてきます。

まず、パソコンの計算を思い出してください。パソコンは0と1のビットに対して、AND や OR といった論理演算を組み合わせて計算します。この論理演算にあたるものが、量子コンピュータでは「量子ゲート」です。量子ゲートとは、量子ビットの状態を決まった規則で変化させる操作のことです。

パソコンのビットは0か1のどちらかしか取れません。ところが量子ビットは、0と1が同時に重なり合った状態を取れます。この重なりを「重ね合わせ」と呼びます。量子ゲートは、この重ね合わせの比率や、複数の量子ビットの間の関係を、精密に操作する道具です。

量子ゲートには何種類かあります。1個の量子ビットの向きを回転させるだけのシンプルなゲートもあります。また、2個の量子ビットをもつれ合わせる「CNOTゲート」のようなゲートもあります。もつれとは、2個以上の量子ビットが切り離せない形で結びつく関係のことです。片方を測れば、もう片方の状態も決まってしまいます。量子コンピュータの計算力の多くは、このもつれをどう作り、どう使うかにかかっています。

そして、量子ゲートを何個も順番につないだものが「量子回路」です。回路図では、量子ビットを表す横線が並び、その上にゲートの記号が並びます。左から右へ、ゲートを1つずつ通過させていくことで、量子ビットの状態がだんだん変化していきます。

つまり量子コンピュータで計算するとは、量子ビットを用意することです。そして、目的の問題に合わせて設計した量子ゲートの列、つまり量子回路を実行することです。そして最後に測定して、答えを取り出します。測定をすると、重ね合わせだった状態は0か1のどちらかに定まります。1回の測定では確率的な結果しか出ません。そのため、同じ回路を何度も繰り返し実行して、答えらしい結果を統計的に浮かび上がらせることも多くあります。

ここで厄介なのが、現実のゲートは理想通りには動かないという点です。量子ビットは非常に壊れやすく、わずかなノイズですぐ誤りが生じます。超伝導量子ビットの研究では、材料中の微小な欠陥がエネルギーを奪うことが分かってきました。この現象は、ゲート操作の誤りと結びついています。ゲートの質を上げることは、今の業界にとって地味に見えて、実はとても大事な課題なのです。

回路が誤りに弱いなら、誤りを検出して直す仕組みも要ります。表面符号という誤り訂正方式の研究では、検査測定の順番を工夫することに注目しました。その工夫だけで、誤り率を大きく下げられることが示されました。また分散型の量子計算に関する研究では、ノード間の通信で生じる誤りの癖をうまく利用しています。それによって、余分な量子ビットを使わずに誤りを抑える方法が提案されています。どちらも、量子回路をそのまま実行するだけでは足りず、誤りへの対策込みで設計する必要があることを物語っています。

さらに、実行した回路が本当に正しく動いたのかを確かめる「検証」も課題です。IBMとシカゴ大学による研究では、特別に設計した回路を使いました。その結果、計算の難しさの保証とエラー抑制、検証のしやすさを同時に満たす手法が示されました。量子回路を組むだけでなく、その結果が信用できると示すところまでが、実用化に向けたセットになりつつあります。

量子コンピュータで計算するとは、量子ビットに量子ゲートを順番にかけて量子回路をつくることです。そして、測定して答えを取り出します。次回は、その最後の「測定」で、なぜ重ね合わせが壊れてしまうのかを見ていきます。

続きはメールでも受け取れます

新着記事のまとめを、毎日・週1回・月1回から選んでお届けします。 対談と教えて先生の続きも読めるようになります。登録も閲覧も無料です。

ログインしてメール配信を設定