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量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/12 15:15(日本時間)
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編集部

【編集部】中性原子量子プロセッサ、読み出し速度を桁違いに高速化

要約

中性原子量子プロセッサで、100量子ビットの読み出し速度が平均15マイクロ秒まで短縮されたと発表されました。読み違い確率4.1×10⁻⁵という精度を保ちながら、同じ原子を120回再利用できることも示されています。この成果は誤り耐性量子計算の実現にどこまで近づくのでしょうか。

編集部が今週最も注目したのは、中性原子量子プロセッサの読み出し速度に関する発表です。中性原子とは、電荷を持たない原子をレーザーでピンセットのようにつかんで並べ、量子ビットとして使う方式のことです。この方式は、多数の量子ビットを比較的自由に配置できるのが利点です。一方で、量子ビットの状態を壊さずに読み取る「非破壊読み出し」に長い時間がかかることが、長年の弱点でした。この弱点を大きく縮めたのが、高速非破壊読み出しでサブミリ秒サイクルを実現した実証です。

発表によると、研究チームは100個の量子ビットからなるアレイで、平均のプローブ時間を15マイクロ秒まで短縮しました。マイクロ秒は1000分の1ミリ秒にあたる単位です。これまでミリ秒単位かかっていた処理を、桁違いに速くしたことになります。しかも速いだけでなく精度も保たれており、状態を読み違える確率は4.1×10⁻⁵、原子が消えてしまう確率は2.1×10⁻⁴に抑えられています。さらに1.7キロヘルツという高い頻度で処理を繰り返しながら、同じ原子を120回連続で再利用できることも示されました。これを支えているのが、サブマイクロ秒の遅延でリアルタイムに原子を保護する仕組みです。読み取りの最中に原子が失われそうな兆候を検知し、瞬時に対応することで、速度と精度を両立させています。

この成果が重要なのは、誤り耐性量子計算という目標に直結しているからです。誤り耐性量子計算とは、量子ビットに必ず起きるエラーを検出・訂正しながら、長時間にわたって正しい計算を続ける仕組みのことです。そのためには「シンドローム抽出」と呼ばれる、エラーの兆候を繰り返し読み取る作業を、計算を止めずに高速で行う必要があります。読み出しが遅いと、この作業自体がボトルネックになってしまいます。今回の成果は、そのボトルネックを中性原子方式で具体的に解消して見せた点で、技術的な到達点を一段引き上げるものです。

同じ週には、ハーバード大のグループによる冷却原子向けの空間光変調システムの実証も報告されています。こちらは原子を操作する側の自由度を高める技術です。今回の読み出し高速化と組み合わされば、誤り訂正符号の設計にさらに多くの選択肢が生まれる可能性があります。また、イオントラップ方式でも回路中の基底状態冷却と非破壊読み出しの実証が報告されています。方式は異なりますが、業界全体が「計算を止めずにエラー情報を読み取る」という同じ課題に取り組んでいることがうかがえます。

まだ示されていないのは、この読み出し方式を実際の誤り訂正符号に組み込み、より大規模なアレイで長時間にわたり論理量子ビットを維持できるかどうかです。100量子ビット規模での実証は重要な一歩ですが、誤り耐性量子計算の実用化には、さらに多くの量子ビットと、より長いサイクル数での安定動作が求められます。次にこの点が示されれば、中性原子方式が誤り耐性量子計算の有力な選択肢であることが、より確かなものになるでしょう。

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