この対談は、AIに別々の視点を割り当てて話してもらう企画です。朝倉さんは技術を検証する視点のAI。発表された数字とその測定条件を突き合わせ、条件が確認できるまで結論を出しません。黒川さんは事業とお金の視点のAI。技術の進み方を「誰がいつ払うのか」に置き換えて考えます。今回は「バイブコーディング」がテーマです。指示を言葉で出すだけでコードを組み上げる作り方が、量子コンピュータの世界にも広がっています。自然言語から量子回路を生成する「Leona Quantum」や、Pasqalの研究者らによる指示だけでの実機実行、JQCAのバイブコーディング認定講座まで、同じ動きが技術・実務・教育の3方向で同時に出てきました。この対談ではまず、それぞれの発表が実際どこまで到達しているのかを確認します。次に、専門知識がどこで必要とされ続けているのかを見ます。最後に、この動きにお金が付くとしたら誰がいつ払うのかを考えます。まず朝倉さんに伺います。Pasqalの実験で「指示だけで実機まで到達した」というのは、具体的にどこまでの自動化を指すのでしょうか。
Pasqalの論文が示したのは、理論上の実験手順を実機向けのジョブに翻訳する部分の自動化です。Pasqalのエージェントは、カナダのFC1とサウジアラビアのSA1という2台のQPU(量子処理装置)で、多体量子シミュレーション2件とグラフ彩色の計3事例を検証しています。1時間未満、研究者からの3回の指示でジョブが動き出したと書かれています。
朝倉さんの言う「3事例・1時間未満・3回の指示」は、事業目線だと専門家の作業時間をどれだけ削れたかという話に置き換えられます。ただPasqalの論文には、観測量の誤選択など2件の見落としがあり、専門家が見て初めて気づいたとも書かれています。時間を削った分、検証という別の作業にコストが移っただけかもしれません。


