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Photo: Arseny Togulev / Unsplash

AI

Arduinoがボード上でLLMを動かせる新製品「VENTUNO Q」を発表、予約受付を開始

要約

Arduinoが2026年8月25日にVENTUNO Qを発表し、予約受付を開始しました。Dragonwing IQ8とSTM32H5F5を組み合わせ、Qwen 3やGemma 4などをローカルで動かせるとしています。価格や出荷日、消費電力、生成速度は未公表です。

2026年8月25日、Arduinoが新しいボード「VENTUNO Q」を発表し、予約受付を始めました。同社によると、このボードは大規模言語モデル(LLM、大量の文章を学習して文章を生成するAIモデル)をボード上でローカルに動かせる設計です。同社はこれを「Physical AI の新しい時代」という言い方で紹介しています。以下の内容は、2026年8月26日時点でArduinoの製品ページと公式Xの投稿に書かれていることをまとめたものです。

まず、どのモデルが動くとされているかです。同社が製品ページで名前を挙げているのは、LLMのQwen 3 4B、画像と言葉をまとめて扱うVLM(視覚言語モデル)としてQwen 2.5 7BとQwen 3 4B、そしてGemma 4のE2BとE4Bです。音声まわりでは、音声認識のWhisper、音声合成のMeloとPiperが挙がっています。画像処理ではYoloX、MediaPipe、PoseNetの名前もあります。実行環境としては、CPUなどでLLMを動かすソフトウェアであるllama.cppと、モデルを1つのファイルにまとめる形式のGGUFに対応するとしています。なお公式Xの投稿では「Qwen 3, Gemma 4, Qwen 3 VLM」とだけ書かれており、モデルの大きさまで書かれているのは製品ページのほうです。

構成を見ていきます。同社によると、SoC(主要な機能を1つのチップにまとめた半導体)はQualcomm Dragonwing IQ8(IQ-8275)です。CPUは8コアのKryoで最大2.36GHz、GPUはAdreno 623、AI処理を担うNPUはHexagonで40 dense TOPSと記載されています。メモリは16GB LPDDR5、ストレージは64GB eMMCで、M.2 NVMe Gen.4の拡張スロットも備えます。OSはUbuntuでUbuntu Proライセンスが付き、Debianは近日とされています。通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5.3、2.5Gbpsイーサネットです。端子はUSB-C、USB 3.0 Type-A×2、MIPI CSIカメラ端子×3、HDMI、MIPI DSI、CAN-FD、PWM、GPIOなどが並びます。寸法は160×100×25.8mmです。

この製品でArduinoが前面に出しているのが、dual-brainという呼び方です。1枚のボードの上で、AIの推論はLinux側のNPUが担い、決まった時間どおりに動く制御はマイコン側が担います。マイコンはSTM32H5F5(Arm Cortex-M33、250MHz)で、ここにはリアルタイムOS(決められた時間内に処理を終えることを重視したOS)のZephyrが載ります。推論は入力によってかかる時間が変わりますが、モーターやセンサーの制御は時間がずれると困ります。その2つを別々の担当に分ける、という構成です。CAN-FDは車両や産業機器で使われる通信規格、GPIOは外部の部品を直接つなぐ端子で、これらがマイコン側の役割とかみ合う位置に置かれています。

ソフトウェア面では、スケッチとPythonとAIモデルを1つの環境で扱うArduino App Labが用意されます。PyTorch、llama.cpp、GGUFに対応し、自前のデータでモデルを学習するEdge Impulse、ロボット開発で使われるソフトウェア基盤のROS 2にも対応するとしています。公式Xの投稿では、モデル配布サイトのHugging FaceとQualcomm AI Hubの名前も挙がっています。拡張基板は、Arduino UNOのシールドとRaspberry PiのHATの両方の規格に対応します。試作から量産へ進む道としては、Works with Arduino認証プログラムがあり、パートナーとしてSECOとToradexが挙げられています。販売はArduino Storeのほか、DigiKey、Farnell、Mouser、RS、Robu.inなどのパートナー経由とされ、公式Xの投稿によると最初のロットには電源とUSB-Cケーブルが付きます。

一方で、2026年8月26日時点で公表されていない項目もあります。価格と出荷日は出ていません。消費電力と放熱の仕様も記載がありません。NPUの性能は40 dense TOPSとだけ書かれ、どういう条件で測った値なのかは示されていません。実際にこのボードでLLMを動かしたときの生成速度、たとえば1秒あたりのトークン数も公表されていません。手元の機材でモデルを動かす話題は当サイトでも扱っており、FreeToken、手元のPCでMoEモデルを動かす実行系をarXivで公開や、Ornith-1.5が公開、9B・35B・397Bの3種をMITライセンスで配布、Qwen3.8-Flash-Nextを8月27日公開へ、Qwen4アーキテクチャのMoEなどで報じています。VENTUNO Qで何がどこまで動くのかは、公表される情報と実機の報告を待って判断する形になります。

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