AI関連の性能評価を公開している Artificial Analysis が、Z.ai(@Zai_org)の言語モデル「GLM-5.3-Flash」の評価結果を公開しました。同社はモデルを開発する側ではなく、モデルを測る側の組織です。今回の数字は開発元の自社公表値ではなく、測る側が出したものという点が特徴です。公開されたのは同社の Intelligence Index で57、Cost per Task で0.09ドルという値です。Intelligence Index は同社が複数の評価をまとめて算出する独自の知能指標です。Cost per Task はその Intelligence Index を1回まわすのにかかる費用を指します。以下はArtificial Analysis の投稿(2026年8月26日17:20 UTC)にもとづく内容で、当編集部の確認日は2026年8月26日です。
まずモデルの素性です。GLM-5.3-Flash は総パラメータが320B、活性パラメータが18Bです。ライセンスは MIT です。文脈長は400kとされています。推論の強さは low / high / max から選べます。提供は Z.ai の自社APIで、公開時から利用できるとされています。位置づけとしては GLM-5.3 の小さくて安い兄弟にあたります。
ここからが今回の芯です。知能と費用を同じ土俵に載せると、見え方が変わります。GLM-5.3-Flash は max の推論で Intelligence Index が57、Cost per Task が0.09ドルでした。上位モデルの GLM-5.3 は60で0.68ドルです。3点の差に対して、費用はおよそ7.5倍という並びになります。同じ57点で並ぶモデルもあります。GPT-5.6 Terra は0.51ドル、Muse Spark 1.2 は0.40ドルです。同社は、知能と費用のグラフでパレート最前線に乗るとしています。価格は Z.ai の自社APIで、入力が100万トークンあたり0.15ドル、出力が100万トークンあたり0.50ドルです。キャッシュ済み入力は80%引きとされています。性能の数字だけでなく費用まで入れると順位の見え方が変わるという話は、量子コンピュータの性能は何で比べるかを扱った回でも触れた論点です。今回はその実例にあたります。
トークンの使い方についても数字が出ています。Intelligence Index を通すのに使った出力トークンは1億4,900万でした。GLM-5.3 の1億6,800万より約11%少ない量です。一方で、同じ57点の Kimi K3 は1億3,300万、Qwen3.8 2.4T A95B は1億3,600万で、GLM-5.3-Flash はこれらより多く使っています。Qwen3.8 2.4T A95B については、Qwen3.8-Flash の発表を扱った記事でも同系列のモデルに触れています。内訳では1億3,400万が推論用トークンで、全体の約90%を占めます。同社は、トークン効率は良くないものの単価が安いため Cost per Task は高くならない、という趣旨を述べています。効率と費用は別だという指摘です。
実務寄りの評価も公開されています。実務のエージェント作業を測る GDPval-AA v2 では Elo 1770 でした。同社によると、GLM-5.3 と Grok 4.6 に誤差の範囲で並び、上位にいるのは Claude Opus 5(xhigh と max)だけとされています。Terminal-Bench v2.1 は84.3%で、GLM-5.3 の83.9%とほぼ同じです。一方で τ³-Banking は47.2%で、GLM-5.3 に3.1ポイント及びませんでした。知識を測る AA-Omniscience では総合スコアが+7、正答率は28%です。これは GLM-5.3(max)の34%より6ポイント低く、GPT-5.6 Terra の47%とはさらに差があります。ただし幻覚率は28%で、GLM-5.3 の30%より下がっています。同社は、同じ知能指数の帯にいる大きなモデルや商用モデルより実世界の知識は少ない、としています。良い面と弱い面の両方が示された形です。
最後に、読み取るうえでの注意点です。キャッシュ済み入力の単価は、投稿の本文では0.026ドル、末尾の「Additional model details」では0.03ドルと書かれており、食い違っています。利用を検討する場合は、Z.ai 側の最新の価格表示を確認する必要があります。また、投稿には学習データ、実際の生成速度(トークン毎秒)、各ベンチマークの詳しい実施条件、日本語での性能は書かれていません。今回の数字はあくまで Artificial Analysis の指標にもとづくもので、これが唯一の物差しではありません。元の投稿はこちらで確認できます。価格や評価値は変わる可能性があるため、本稿の内容は2026年8月26日時点のものとしてお読みください。



