動画生成の基盤を提供するfalが2026年8月26日、動画生成モデル「H3 Max」を発表しました。ゼロから作ったものではなく、MiniMaxが公開しているモデル「MiniMax H3」を後追いで学習し直したものです。第三者の評価では速さと好まれ方の両方で首位に立っていますが、重みは公開されていません。
falの主張
fal公式Xの投稿(8月26日20時28分UTC)によると、H3 Maxは「主要な動画モデルに対し、総合品質・指示の理解・美しさで1位」であり、「720pの5秒動画を3秒未満で生成する」とされています。同社は「1位」の根拠として、自社の評価と第三者の独立した評価の両方を挙げています。
falのモデルページでは、H3 Maxを「MiniMax H3を後追い学習した派生で、指示への追従と美しさを高めつつ、自社の推論基盤と合わせて調整し、出力品質を落とさずに処理量を上げたもの」と説明しています。速さの一部はモデルではなく実行基盤側の工夫だということです。
値段は9月1日まで半額で、480pが1秒あたり0.025ドル、768pが0.04ドルです。通常価格はそれぞれ0.05ドル、0.08ドルとされています。テキストから動画、画像から動画のいずれも同じ価格でした。
第三者の測定
評価を出したのは、Intelligenceが運営するDesign Arenaです。利用者にどちらが良いかを選ばせ、その集計から順位を出す形の評価で、当サイトでもAIトレンド③お金と評価が変わった―価格の桁と、測る側の登場で、こうした「測る側」が増えている状況を取り上げました。
Design Arena公式Xの投稿(同日20時32分UTC)によると、H3 Maxは画像から動画の生成時間が6.4秒で平均の18倍速く、テキストから動画は4.7秒で24倍速いとされています。また基盤となったモデルに対して「50倍近く速い」としています。
同投稿に添えられた図は、横軸に生成時間、縦軸にElo評価を取った散布図です。H3 Maxだけが左上、つまり速くて評価も高い側に単独で置かれています。他のモデルは30秒から1.7分あたりに集まっており、間が大きく空いています。
ここで注意したいことがあります。falは「720p 5秒を3秒未満」、Design Arenaは「テキストから動画で4.7秒」としており、数字が一致しません。測る条件が違うためで、どちらかが誤りというわけではありません。この種の数字は、誰がどう測ったかとセットでなければ比べられません。
重みは公開されていない
H3 Maxの重みを探しましたが、Hugging Face上にfalとMiniMaxいずれの公式名義でも見つかりませんでした。falの公式アカウントが公開している20件のリポジトリにも含まれていません。使う手段はAPI経由に限られます。
一方、基盤となったMiniMax H3は公開されています。7月28日に置かれ、規模は33.1B、ダウンロードは479万件、いいねは4,511件に達しています。テキストから動画、画像から動画に加え、音声付き動画の生成にも対応するとされています。
同じ週に、公開された派生も出ている
同じ8月26日、lightx2vがMiniMax H3向けの指示文書き換えLoRAを公開しました。こちらは重みが公開されており、誰でも落とせます。基盤はQwen2.5-Omni-7Bで、動画生成への指示を構造化されたJSONに書き換えるものです。テキストから音声付き動画、画像から音声付き動画といった経路に対応し、話者の同一性や台詞といった、種類をまたぐ参照を扱うとされています。
つまり同じ週に、同じ公開モデルの上で2つのことが起きています。片方は非公開の商用版として売られ、片方は誰でも使える形で配られました。重みを公開すると何が起きるかの、分かりやすい実例です。公開モデルが増えている流れそのものについてはオープンモデル乱立とエージェント特化競争――AI業界、8月後半の動き、公開されたモデルがどれだけ使われるかの差についてはAlibabaが「Qwen3.8」2モデルを公開、27Bと2.4TでDL数に40倍差でも扱っています。
当サイトでは確かめていないこと
H3 Maxの品質と速度は、いずれもfalとDesign Arenaの発表によるものです。当サイトでは動かしていません。重みが公開されていないため、手元で確かめる手段がありません。生成の品質を自分で測れないという点は、この種の発表を読むうえで意識しておく必要があります。
なお本文中の価格・数値は、いずれも2026年8月27日時点で公式ページおよび公式アカウントの投稿から確認したものです。


