8月29日のクオンタムビュー、始まります。今日入ってきたニュースは全部で8本です。まずは全体をざっと紹介して、そのあと気になったものを久保田さんと一緒に詳しく見ていきます。
それでは8本、順に紹介します。
まず量子の基礎知識として、量子化とは何か—AIモデルを軽くする仕組みと限界という解説が出ています。
続いて助成金・投資に関する動きが4本まとまっています。ニューメキシコ州、DARPA QBI Stage CおよびQuantumEAGLeをTargeted Federal Match助成金プログラムの対象に追加、ニューサム州知事、南カリフォルニアのQuantumエコシステム拡大に974万ドルを授与、カナダ政府、Xanaduの8億9,300万カナダドル規模「Inception」量子製造施設に1億9,500万カナダドルを拠出、そしてインドで初となる量子・AI専門大学キャンパス、Amaravatiで承認です。
市場の動きとしては【クオンタムマーケット】8月28日|量子関連10銘柄中9銘柄下落、平均-5.71%で反動安が出ています。
理論研究では耐障害性量子計算に「定数の時空間オーバーヘッド」は不可能——対数的コストの不可避性を証明という論文が報告されています。
最後に企業の動きとしてPasqalがBleichroeder Acquisition Corp. IIとの企業結合を完了し、Nasdaqでの取引を開始があります。
以上8本です。この中から今日はXanaduのカナダ政府資金、Pasqalの上場完了、ニューメキシコ州の助成金拡大の3本を詳しく見ていきます。まずはXanaduの件からいきましょう。
Xanaduのカナダ政府資金です。2026年8月28日、フォトニック量子コンピュータ企業Xanaduはカナダ政府と正式契約を結びました。連邦の資金拠出プログラムから1億9,500万カナダドルを確保し、トロントに建設する8億9,300万カナダドル規模の製造施設「Inception」の一部となります。雇用創出は275人分見込まれています。
久保田さん、この「Inception」という施設は具体的に何を作る場所なのか、教えていただけますか。
一言で言うと、光を使う量子コンピュータの部品を大量生産するための工場です。フォトニック方式は光の粒を使って計算しますが、その光の道筋を作る部品を一つずつ手作りしていては量子コンピュータは増やせません。今回変わったのは、その量産体制に本格的な資金と土地がついたことです。158,000平方フィートの施設に検査・組立の設備が入り、量産の入り口に立ったと言えます。まだ示されていないのは、この工場で実際に量子ビットの品質が量産条件でも保たれるかどうかです。施設が動き出してから分かることだと思います。
つまり、量子ビットの部品を手作りではなく量産できる体制が整い始めた、ということですね。品質が量産でも保たれるかは、施設が動き出してから分かる点だそうです。
詳しく見ていく1本目です。PasqalがBleichroeder Acquisition Corp. IIとの企業結合を完了し、Nasdaqでの取引を開始です。
2026年8月28日、中性原子方式(原子を並べて量子ビットとして使う方式)の量子コンピュータ企業Pasqalは、特別買収目的会社(SPAC、すでに上場している資金だけの会社と合体することで通常の上場審査を経ずに株式市場に入る仕組み)であるBleichroeder Acquisition Corp. IIとの企業結合を完了しました。NasdaqでティッカーシンボルPSQLとPSQLWの取引を開始し、クロージング時点で使える現金は約3億6,000万ドルです。
久保田さん、今回SPACという形で上場したことで、Pasqalにとって具体的に何が変わったのでしょうか。
一言で言うと、Pasqalは研究開発の資金調達の手段を変えたということです。これまでのように投資家を一件ずつ回って資金を募る代わりに、株式市場から直接お金を集められるようになりました。約3億6,000万ドルの現金が使えるようになったのは大きく、これをQPU、量子計算を行う処理装置の生産拡大や、誤りに強い方式への技術移行に充てる計画です。まだ示されていないのは、この資金が実際にQPUの台数や性能をどれだけ伸ばすかという具体的な成果です。次の四半期以降の報告で、資金がどう技術に変換されたかが見えてくるはずです。
QPUというのは、量子コンピュータの計算部分を担う装置のことです。つまり、Pasqalは株式市場から資金を集める仕組みに切り替え、その資金を装置の増産や技術の向上に使う計画だ、ということですね。
ニューメキシコ州、DARPA QBI Stage CおよびQuantumEAGLeをTargeted Federal Match助成金プログラムの対象に追加
2026年8月28日、ニューメキシコ州はTargeted Federal Match助成金の対象に、DARPAのQuantum Benchmarking Initiative Stage CとARO/NSAのQuantumEAGLeを追加しました。州内で業務を行う量子企業・研究機関に、最低100万ドルの州資金と最低100万ドルの外部資金を組み合わせて助成します。
久保田さん、このマッチング助成金という仕組みは、企業にとって具体的にどんな意味があるのでしょうか。
一言で言うと、州のお金を出す条件が広がったということです。これまでは対象となる連邦プログラムが限られていましたが、DARPAのQuantum Benchmarking Initiative Stage CとQuantumEAGLeが加わり、これらに採択された企業は州から最低100万ドルの上乗せを受けられます。つまり連邦の審査に通ることが、州の資金も呼び込む入り口になったわけです。まだ示されていないのは、実際にどの企業がこの枠を使い、州内でどれだけの規模の仕事が生まれるかです。先ほどのXanaduの例のように、施設や雇用の具体的な数字が出てくるかどうかが次の見どころだと思います。
Quantum Benchmarking Initiative Stage Cというのは、DARPAが実用規模の量子コンピュータの実現に向けて企業を審査・支援する取り組みの一段階のことです。つまり、連邦の審査に通った企業が州の資金も受け取りやすくなる仕組みが整った、ということですね。
3本を並べると、資金の出どころがばらばらだと分かります。Xanaduは政府による製造施設向けの資金です。Pasqalは株式市場からの資金です。ニューメキシコ州は連邦審査に通った企業への上乗せです。一つの流れにまとめる必要はなく、資金の入り方が多様化しているだけだと見ています。次に見るべきは、この資金がQPUの台数や施設の稼働、助成先の実例として形になるかどうかです。
最後に市場の動きにも触れておきます。8月28日、量子関連10銘柄のうち上昇は1銘柄、下落は9銘柄でした。平均は-5.71%です。最も上げたのはXanaduで+1.25%、最も下げたのはInfleqtionで-10.61%でした。詳しくは【クオンタムマーケット】8月28日|量子関連10銘柄中9銘柄下落をご覧ください。
資金の入り方が多様化する中でも、次に問われるのは同じくQPUや施設が実際に形になるかどうかです。明日の夜もこの時間にお会いしましょう。




