夜のニュースコーナー、クオンタムビュー、9月9日分をお届けします。今日入ってきたニュースは全部で3本です。まずは3本まとめて簡単にご紹介し、そのあと気になったものを久保田さんと詳しく見ていきます。
それでは今日入ってきた3本を順にご紹介します。
まず1本目、【教えて先生】QAOAの仕組みと不毛な台地にはまる理由です。量子コンピュータの計算方法の一つであるQAOAが、なぜ答えを見失う罠にはまることがあるのか、その仕組みを解説する記事です。
2本目、【クオンタムマーケット】9月8日|量子関連8銘柄上昇、D-Wave+6.57%で反発です。9月8日の米国市場で量子コンピュータ関連10銘柄中8銘柄が上昇し、D-Waveが+6.57%と最大の上げ幅を記録しました。
3本目、IBMとは?です。量子コンピュータの研究開発で最先端を走るIBMという企業について、基本から紹介する記事です。
この3本すべてを、これから詳しく見ていきます。まずは1本目、QAOAと不毛な台地の記事から入ります。
【教えて先生】QAOAの仕組みと不毛な台地にはまる理由をご紹介します。QAOAという最適化の計算方法は、回路を深くしすぎると答えを見失う不毛な台地にはまることがあります。この記事では、量子ビット3個・40層の回路を使った検証で、事前に台地にはまりそうか予測する式と実際の測定値が近い結果になったことが分かりました。
久保田さん、QAOAという言葉自体、今日初めて聞く読者も多いと思うのですが、そもそもどんな計算方法なのか、教えていただけますか。
一言で言うと、QAOAは山を下るように答えを少しずつ良くしていく計算方法です。谷底、つまり最適な答えを探すイメージですね。
今回変わったのは、回路を組む前に迷子になりそうかを予測できる、という点です。動ける範囲の広さと最初の状態と測るものの3つから計算できて、実測と近い値になることが確かめられました。
ただしこれは量子ビット3個という小さな回路での検証です。QAOAそのもので確かめられたわけではありません。次に必要なのは、QAOAの動ける範囲を実際に計算してこの式に当てはめることです。それでも「何層が最適か」までは分からないままです。
「動ける範囲の広さ」というのは、回路のつまみをどれくらい大きく調整できるかという意味合いだと考えると分かりやすいと思います。つまり、回路を組む前に迷子になりそうか見当をつけられるようになったものの、それが確かめられたのは小さな回路だけで、QAOA自体ではまだ確認されていない、ということですね。
続いて2本目、【クオンタムマーケット】9月8日|量子関連8銘柄上昇、D-Wave+6.57%で反発をご紹介します。
9月8日の米国市場では、量子コンピュータ関連10銘柄のうち8銘柄が上昇し、平均は+2.88%でした。最大の上げ幅はD-Waveの+6.57%で、終値17.67をつけました。Infleqtion、Arqit、Rigettiも5%前後上昇しました。
久保田さん、D-Waveがこの日大きく動いた背景には何があったのでしょうか。
D-Waveの背景には、米国商務省との間でCHIPS Actに基づく最大1億ドルの契約を正式に締結したという材料があります。D-Wave、米国商務省との間でCHIPS Actに基づく最大1億ドルの正式契約を締結が伝えられていて、資金の裏付けができたこと自体は前進です。ただし契約額がいつ、どの用途に使われるかはまだ示されていません。またこの日はInfleqtionやArqitも5%前後上昇していて、業界全体が同じ方向に動いた日でもあります。D-Wave固有の動きなのか、業界全体の流れに乗った部分がどれくらいあるのかは、まだ切り分けられません。
CHIPS Actというのは、アメリカ国内で半導体などの製造や研究を後押しするための法律のことです。つまり、資金の裏付けができたこと自体は前進だけれど、それがD-Wave固有の動きなのか業界全体の流れに乗った部分なのかは、まだ切り分けられないということですね。
続いて3本目、IBMとは?をご紹介します。
IBMは100年以上の歴史を持つアメリカの大手コンピュータ企業です。超伝導方式という仕組みで量子ビットを作る方式の代表的な推進者で、「IBM Heron」という量子プロセッサを開発しています。これを「IBM Quantum」という名前でインターネット経由で世界中に提供しています。
久保田さん、IBMがこの「IBM Quantum」という提供の仕方を早くから始めたことには、どんな意味があるのでしょうか。
早くから実機をネット経由で公開してきたことで、研究者や企業が自前で量子コンピュータを持たなくても試せる裾野が広がった、という点が実質的な変化です。パソコンの黎明期に基本ソフトを整えた企業に近い役割ですね。ただしこの記事には、IBM Heronの量子ビット数や性能が他社と比べてどうなのか、具体的な数値は示されていません。次に、性能を裏付ける実測データや実際の活用事例が出てくれば、実用化がどこまで進んだか判断しやすくなると思います。
「裾野が広がった」というのは、自分で量子コンピュータを持っていない人でも試せるようになった、という意味です。つまり、IBMが実機を早くから公開したことで、研究者や企業が試せる幅が広がった、ということですね。
今日の3本は、正直つながりがあるとは言えません。QAOAの記事は計算の仕組みそのものの話、D-Waveの記事は市場の反応、IBMの記事は企業の紹介と、それぞれ別の切り口です。無理にひとつの流れにまとめるより、ばらばらな3本として見ておくのが正確だと思います。強いて次に見るべき点を挙げるなら、D-Waveの契約が実際にどの用途に使われるか、続報が出てくるかどうかです。
9月8日の米国市場では、量子コンピュータ関連10銘柄のうち上昇8、下落2、変わらずが0でした。平均は+2.88%です。いちばん上げたのはD-Waveの+6.57%、いちばん下げたのはIQMの-2.87%でした。
久保田さんのお話のとおり、今日の3本はそれぞれ別の切り口でした。明日の夜もこの時間に、クオンタムビューでお会いしましょう。



