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Photo: Arseny Togulev / Unsplash

AI

素性を明かさないモデル「Union Alpha」がOpenRouterに——無料・26万トークン、対価は入力そのもの

要約

OpenRouterに、作り手を公表しないモデルUnion Alphaが2026年9月16日に登録されました。文脈26万トークン・画像入力つきで無料ですが、規約では入力内容が匿名の提供者に渡る設計です。道具は「モデルに任せる」指定しか通らず、必ず呼ばせる組み方はできません。

OpenRouterに、作り手を明かさないモデル Union Alpha(stealth/union-alpha)が出ました。登録は2026年9月16日 23時42分(日本時間)です。無料で、文脈は26万トークン、画像も読みます。

ただし、誰が作ったのかは公表されていません。そして無料の対価がどこにあるのかは、OpenRouter自身の規約に書かれています。

まず、公表されている数字

OpenRouterのAPIが返す値をそのまま並べます。

名前Union Alpha(stealth/union-alpha)
提供者Stealth(匿名)
登録2026年9月16日 14:42 UTC
文脈の長さ262,144トークン(256K)
一度に生成できる上限131,072トークン
入力テキスト+画像
出力テキスト
価格入力 0/出力 0
量子化不明(unknown)
内容の監視無し(is_moderated: false)

モデルの説明文はこう書かれています。

Union Alpha is a multimodal model built for research, coding, and agentic workflows, while delivering frontier-level performance across a broad range of general-purpose tasks. Union Alpha is a stealth model.

「研究・コーディング・エージェント用途に向けた多モーダルモデルで、幅広い汎用タスクで最前線級の性能を出す」——ただしこれは提供者自身の言葉で、第三者が確かめたものではありません。

「ステルスモデル」とは何か

OpenRouterの説明はこうです。

the developer, owner, or provider has chosen to remain anonymous during this preview

開発元・所有者・提供者が、試用期間のあいだ匿名でいることを選んでいる、という形です。OpenRouterは要求を中継するだけで、自分が開発元ではないと明記しています。

これは珍しいことではありません。過去にも Optimus Alpha、Cypher Alpha といった名前で同じ形の公開がありました。多くは後から「実は◯◯社の新モデルだった」と判明します。いまの時点でそれを当てるのは推測なので、ここでは書きません。

⚠ 無料の対価は、入力そのもの

ここが実務でいちばん大事なところです。OpenRouterの Stealth Program 規約には、こう書かれています。

your User Content may be collected by us and shared with the Stealth Provider

access to the Stealth Models is provided to you free of charge

つまり、無料で使える対価として、入力した内容が匿名の提供者に渡るという設計です。誰に渡っているのかは、利用者には分かりません。規約はこうも書いています。

upon request from each Stealth Provider, OpenRouter may not, in certain instances, disclose the name or origin of Stealth Providers to you

⚠️ 学習に使われるかどうかは、掲示しだいで変わります。
OpenRouterのステルス一覧のページには「prompts and completions may be retained by the provider but are not used for training(提供者が保持することはあるが、学習には使われない)」とあります。一方で規約本体はこう書いています。

if the Stealth Model listing indicates User Content will be used for Stealth Model Training, your User Content will be logged in full and retained by the Stealth Provider

掲示が「学習に使う」と示していれば、入力は全文が記録され保持される。いまの掲示は「使わない」側ですが、⛔ それはいまの掲示がそうなっているというだけで、規約はどちらもありうる形で書かれています。

業務の情報、顧客のデータ、未公開のコードを入れる先としては、向きません。試すなら、外に出て困らないものだけにしてください。

道具は呼べるが、呼ばせることはできない

エージェント用途を掲げているので、道具(tool calling)まわりを見ました。⚠️ 表に出てこない制約があります。

tool_choice の指定使えるか
auto(モデルに任せる)可
required(必ず道具を使わせる)不可
none(使わせない)不可
特定の関数を名指し不可

道具を渡して「使うかどうかはモデルが決める」形しか通りません。必ずこの関数を呼ばせる、という組み方ができないので、既存のエージェントをそのまま載せ替えると動かない場合があります。

あわせて、暗黙のキャッシュ(supports_implicit_caching)は無しです。同じ前置きを何度も送る使い方では、そのぶん毎回かかります。無料なので費用は出ませんが、待ち時間には効きます。

⛔ 言えないこと

この記事で確かめられなかったことを、はっきり書いておきます。

  • 誰が作ったのか。公表されていません。当て推量はしません
  • 性能。当サイトはOpenRouterの鍵を持っておらず、実際に動かして測っていません。「最前線級」は提供者の自称です
  • 速さ。APIが返す latency_last_30m と throughput_last_30m は、いずれも空(null)でした。数字が公表されていません
  • いつまで無料か。規約は「各提供者が定める限られた期間」としか書いていません。APIの期限欄は 2098-12-31 ですが、これは実際の期限ではなく置き値と見るのが妥当です
  • どれだけ使われているか。公開APIからは取れませんでした

なお、稼働率だけは出ています。直近1日で 99.99%、直近30分で 99.999% です。

どう見るか

「無料の最前線級」ではなく、「入力と引き換えの試用」と読むのが正確です。26万トークンの文脈と画像入力を無料で試せるのは確かに魅力ですが、対価は金銭ではなく、入れた内容そのものです。

素性が分かるまでは、公開しても困らない題材で、道具の呼ばせ方に制約があることを承知のうえで触るのが妥当だと思います。正体が明らかになったとき、あるいは価格が付いたときに、改めて測り直す価値のあるモデルです。

出典はいずれもOpenRouterの一次情報です。モデルページはこちら、ステルスモデルの一覧はこちら、Stealth Program の規約はこちら。数値は公開API(https://openrouter.ai/api/v1/models)から2026年9月17日に取得しました。

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