半導体とは、電気を通しやすい「導体」と、ほとんど通さない「絶縁体」のちょうど中間の性質を持つ物質のことです。代表的なものにシリコンがあります。私たちが使うスマートフォンやパソコンの中心部品(CPUやメモリ)は、この半導体で作られています。半導体は、電気の流れを細かく制御できるため、スイッチや増幅器として働き、あらゆる電子機器の土台となっています。
量子コンピュータの分野でも、半導体は重要な役割を担っています。その一つが、シリコンの中に閉じ込めた電子のスピンを量子ビットとして使うスピン量子ビットです。今ある半導体工場の技術で作れる見込みがあり、実際にDiraqとimecは300mmの製造ラインで作った8量子ビットのアレイを、QuoblyはSTMicroelectronicsの300mmラインで作ったチップを動かしています。材料の面では、量子ビットを乱す原子核のスピンを持たない「シリコン28」の商業生産をASP Isotopes社が始めました。
量子ビットを動かす制御回路にも半導体が使われます。量子ビットは極低温で動くため、室温の装置から1本ずつ配線を引くと、配線の数と入り込む熱が増え続けます。そこで、冷凍機の中の低温で動くCMOS回路(クライオCMOS)に制御を任せる研究が進んでいます。HRL Laboratoriesは、4Kで動くCMOSの制御回路で18量子ビットのシリコン量子プロセッサを動かしたと発表しています。半導体は、量子コンピュータの「量子ビットそのもの」と「それを動かす回路」の両方に関わっているのです。


