こんばんは、9月5日のクオンタムビューです。この24時間に入ってきたニュースは全部で8本。まずは8本を簡単にまとめてご紹介し、そのあと久保田さんと気になったものを詳しく見ていきます。
それでは今日入ってきた8本を順にご紹介します。
まず理論研究の動きから3本です。量子機械学習が学習できなくなる条件が、1本の式にまとまった——不毛な台地の統一理論では、2024年の理論を再現し、学習がうまく進まなくなる現象を1本の式で予測できることを確認しました。Grover・位相推定・HHLが1つの枠組みに収まる——量子特異値変換を再現では、複数の代表的な量子アルゴリズムが同じ操作の枠組みで説明できることを確認しました。トロッター誤差の理論を再現——実測2.26274、理論2.26274。相対誤差5.6e-7では、2021年の誤差理論の予測値と実測値がほぼ一致することを確認しました。
続けて基礎的な実験の再現が1本です。隠された文字列を1回で当てる——古典がn回かかるところを、量子は1回・確率1ででは、1993年に提案されたアルゴリズムを再現し、量子側が1回の質問で正解にたどり着くことを確認しました。
ハードウェアの研究が1本です。2次元イオン結晶で周波数多重による並列非局所ゲート、qLDPC符号の実装に道では、清華大学のグループが、イオンを動かさずに離れた量子ビット同士を操作する新しい手法を提案しました。
用語解説が1本です。CMOSとは?では、スマホやPCのチップ作りに使われる製造プロセスが、量子コンピュータ作りにも応用され始めていることを紹介しています。
人事と市場の動きが2本です。人事ニュース: QuIC、Atom Computing、Qilimanjaro Quantum Techにおける戦略的人事任命では、量子産業関連の3つの組織で新しい経営幹部が任命されたことをお伝えしています。【クオンタムマーケット】9月4日|量子関連10銘柄、6勝3敗で平均+0.33%の小動きでは、9月4日の米国市場で量子コンピュータ関連10銘柄が平均+0.33%の小動きだったことをお伝えしています。
以上8本です。この中から今夜は、2次元イオン結晶での並列非局所ゲート、人事ニュース、クオンタムマーケットの3本を詳しく見ていきます。まずは1本目からまいりましょう。
2次元イオン結晶で周波数多重による並列非局所ゲートについてです。清華大学のDuanさんたちのグループが、イオンを物理的に動かさずに、レーザーの周波数を使い分けることで離れた量子ビット同士のゲート操作を同時に並列実行する手法を提案しました。512個のイオンからなる結晶で、248個の物理量子ビットを使う符号を数値例に検証し、論理誤り率10のマイナス12乗という結果を示しています。久保田さん、この「イオンを動かさない」という点は、これまでの方式と比べてどこが変わるのでしょうか。
一言でまとめると、量子ビットを運ぶ手間をなくして、その場でレーザーの周波数を使い分けることで遠くの量子ビット同士を同時に結びつける、という発想です。これまでは移動に時間がかかり、量子ビットが増えるほど誤り訂正のサイクルが遅くなるのが課題でした。移動をなくせればこの問題が和らぎます。ただし今回は数値シミュレーションでの確認にとどまり、実機での動作はまだ示されていません。次に見たいのは、実際のイオントラップ装置での実証です。
久保田さん、「誤り訂正のサイクル」というのは、量子ビットの間違いを見つけて直す作業を繰り返すペースのことですね。つまり、量子ビットを運ばずその場で周波数を使い分けることで、誤り訂正のペースを落とさずに離れた量子ビット同士を同時に操作できる、ということですね。
人事ニュース: QuIC、Atom Computing、Qilimanjaro Quantum Techにおける戦略的人事任命です。欧州の量子産業団体QuICが2026年9月1日付でCécile Perrault氏をExecutive Directorに任命しました。あわせてAtom ComputingがKevin Messerle氏をCFOに、Qilimanjaro Quantum TechがAlbert Solana氏をChief of Staffに任命したと発表しています。久保田さん、この3件の任命に共通して読み取れる動きはありますか。
共通しているのは、技術の中身よりも組織を大きくする段階に入った、という点です。QuICは政策対応の顔となる人を、Atom Computingは資金調達や上場を見据えた財務責任者を、Qilimanjaroは組織運営を支える役職を、それぞれ迎えています。実際に変わるのは経営体制の担当者であって、技術や製品そのものではありません。まだ示されていないのは、この体制のもとで実際に資金調達や規模拡大がどう進むかです。次に決算や資金調達の発表が続けば、今回の任命が実質を伴っていたと確認できます。
久保田さん、「財務責任者」というのは、会社のお金の出入りや資金調達を管理する責任者のことですね。つまり、3社とも技術面ではなく、組織を大きくしていくための経営体制づくりを進めている、ということですね。
【クオンタムマーケット】9月4日|量子関連10銘柄、6勝3敗で平均+0.33%の小動きです。9月4日の米国市場では、量子コンピュータ関連10銘柄のうち6銘柄が上昇、3銘柄が下落、1銘柄が横ばいで、平均は+0.33%でした。最も上昇したArqitは+3.64%、最も下落したXanaduは-2.99%でした。久保田さん、この日は目立った材料が見当たらないとのことですが、こうした値動きの説明がつかない日は珍しくないのでしょうか。
こうした説明のつかない小動きの日は、珍しいことではありません。材料がない日にどちらに動くかは、ほぼ運のようなものです。今回変わったのは株価の数字だけで、業界の技術や体制が動いたわけではありません。先ほどの人事ニュースのように、経営体制が動いた日でも株価には反映されていません。次に見たいのは、決算や技術発表など具体的な材料と株価の動きが結びついて説明できる日が来るかどうかです。それが確認できれば、値動きの読み方も変わってきます。
久保田さん、「材料がない」というのは、値動きの理由になるような発表やニュースが特に無かった、ということですね。つまり、株価が動く理由がない日は上下どちらに転んでもおかしくなく、経営体制の変化がすぐ株価に表れるわけではない、ということですね。
今日の3本は、正直ばらばらです。イオン結晶の話は技術そのものの前進、人事ニュースは組織づくりの動き、市場の話はその日の株価という別の層の出来事で、互いに直接つながってはいません。強いて言えば、技術も体制も動いた日ですら株価は反応しなかった、という距離感が見えたくらいです。次に見ておきたいのは、イオントラップでの実機実証が出てくるかどうかです。
9月4日の米国市場は、量子コンピュータ関連10銘柄のうち上昇6、下落3、変わらず1、平均は+0.33%でした。いちばん上げたArqitは+3.64%、いちばん下げたXanaduは-2.99%です。
久保田さんのお話にあったとおり、技術も体制も動いた日でさえ株価は反応しませんでした。明日の夜もこの時間にお会いしましょう。



