こんばんは。9月12日のクオンタムビューです。今日は量子コンピュータ関連のニュースが13本入ってきました。まず全部をざっとご紹介して、そのあと気になった3本を詳しく見ていきます。どうぞお付き合いください。
それでは今日の13本をまとめてお伝えします。まず企業の提携と人事の動きからです。Qoro QuantumがSTFC Hartree Centreと英国の量子-HPCデモンストレータ構築で覚書を締結しました。Qoro Quantum、STFC Hartree Centreと英国量子-HPCデモンストレータ構築に関する覚書を締結。Q.ANT、Qtonic Quantum、QuantrolOx、Leiden Cryogenicsがそれぞれ新しい幹部を迎えました。人事ニュース:Q.ANT、Qtonic Quantum、QuantrolOx、およびLeiden Cryogenicsにおける戦略的任命。QClairvoyance Quantum LabsがインドのIITM–C-DOT Samgnya Foundationと覚書を結び、量子エコシステムを前進させます。QClairvoyance Quantum Labs、IITM–C-DOT Samgnya Foundationと覚書(MoU)を締結し、インドの量子エコシステムを前進させる。次にハードウェアとシステムの動きです。IQMのHaloceneロードマップが、ヨーロッパ初の論理量子ビットシステムとしてLUMI AI Factoryに採用されました。LUMI AI Factory、ヨーロッパ初の論理量子ビットシステムにIQMのHaloceneロードマップを採用。InfleqtionとCiscoが提携し、分散型中性原子量子ネットワーキングアーキテクチャを発展させます。InfleqtionとCiscoが提携、分散型中性原子量子ネットワーキングアーキテクチャの発展へ。AlteraとRiverlaneが、Agilex FPGA向けのQECインターフェースでパートナーシップを結びました。AlteraとRiverlane、ポスト量子セキュリティ展開に続きAgilex FPGA向けQECインターフェースでパートナーシップ。Qubicがカナダ連邦政府と低温増幅器の契約を獲得しました。Qubic、低温増幅器向けカナダ連邦政府契約150万カナダドル(108万米ドル)を獲得。次に財務と市場の動きです。SEALSQが2026年上半期の財務結果を報告し、売上高が131%増の1,120万ドルになりました。SEALSQ、2026年上半期の財務結果を報告:売上高が131%増の1,120万ドルに急増、現金残高4億8,600万ドル、ポスト量子ハードウェアの進展。9月11日の量子株は10銘柄中6銘柄が上昇し、平均で-0.17%でした。【クオンタムマーケット】9月11日|量子株6勝4敗、Xanaduは-4.01%で下落最大。次に人材と研究の動きです。Chicago State Universityがサウスサイドの量子人材パイプラインを支えるCQuESTセンターを発足しました。Chicago State University、サウスサイドの量子人材パイプラインを支えるCQuESTセンターを発足。さらに解説記事が2本です。量子コンピューティング発明の特許取得に関する連載の第1部が公開されました。量子コンピューティング発明の特許取得:4つの中核的量子アルゴリズムからの教訓 – 第1部。Googleとは何か、という基礎解説記事も出ています。Googleとは?。最後に、Pasqalという企業の紹介記事があります。Pasqalとは?。今日はこの中から3本を詳しく見ていきます。1本目はLUMI AI FactoryのIQM採用、2本目はInfleqtionとCiscoの提携、3本目はSEALSQの財務結果です。まず1本目です。
1本目はこちらです。LUMI AI Factory、ヨーロッパ初の論理量子ビットシステムにIQMのHaloceneロードマップを採用。フィンランドのデータセンターに、ヨーロッパ初の論理量子ビット対応超電導量子コンピュータが導入されます。2027年に150個の物理量子ビットから始まり、2029年までに最大9個のフォールトトレラント論理量子ビットを目指す3段階の計画です。久保田さん、この「論理量子ビット」が実現すると、何が変わるのでしょうか。
有沢さん、この発表で変わるのは、ヨーロッパが「誤り訂正を組み込んだ量子コンピュータ」を自前のAIスーパーコンピュータ環境で使えるようになることです。いまの量子コンピュータは誤りが多くて、まともに計算できません。論理量子ビットは、複数の物理量子ビットをまとめて1つの信頼できるビットとして扱う仕組みで、これが動き出すと計算の信頼性が一段上がります。まだ示されていないのは、実際にその9個の論理量子ビットが、どんな計算をどの精度で実行できるかという実証データです。次に、2027年の初期導入で誤り訂正の初期テストがどう動くか、そこが決定的な一歩になるでしょう。
久保田さんの話で「物理量子ビット」という言葉が出てきました。これは、量子コンピュータの計算に使う最小の部品で、まだ誤りが多い素のビットのことですね。つまり、誤りやすい部品を束ねて、信頼できる1つのビットを作る計画が動き出した、ということですね。
2本目です。InfleqtionとCiscoが提携、分散型中性原子量子ネットワーキングアーキテクチャの発展へ。InfleqtionとCisco Systemsが、分散型量子ネットワーキングアーキテクチャを共同開発します。冷却原子の量子処理ユニットとCiscoのネットワーク技術を組み合わせて、複数の量子デバイスをつなぐ仕組みを目指します。久保田さん、この提携で具体的に何が進むのでしょうか。
有沢さん、この提携で変わるのは、量子コンピュータを1台で大きくするのではなく、複数の小さな量子デバイスをネットワークでつないで、あたかも1つの大きな計算機のように使う道が開かれることです。量子状態を保ったまま光ファイバーで送る技術と、Ciscoのスイッチ技術を組み合わせる。まだ示されていないのは、実際にどれだけの距離で、どの程度の精度で量子状態を受け渡せるかという実証です。次に、彼らが作るプロトタイプで、異なる方式の量子デバイス同士がちゃんとつながるかどうか、そこが決定的なポイントになるでしょう。
久保田さんの話で「量子状態」という言葉が出てきました。これは、量子コンピュータの計算に使う情報の状態で、途中で壊れると計算が台無しになる繊細なものです。つまり、繊細な情報を壊さずに別の機械へ送る技術を、Ciscoと組んで本格的に開発する、ということですね。
3本目です。SEALSQ、2026年上半期の財務結果を報告:売上高が131%増の1,120万ドルに急増、現金残高4億8,600万ドル、ポスト量子ハードウェアの進展。SEALSQが2026年上半期の売上高を報告しました。前年同期比で131%増の1,120万ドルです。現金と短期投資は4億9,500万ドルです。ポスト量子チップの認証も進んでいます。久保田さん、この決算は業界でどう位置づけられますか。
有沢さん、この決算で注目したいのは、売上高の急成長よりも、ポスト量子ハードウェアが実際に製品として動き出したことです。SEALSQは量子コンピュータでも解読が難しい暗号を扱う半導体を開発しています。その主力チップがNISTの認証を取得し、顧客へのサンプル出荷も始まりました。まだ示されていないのは、そのチップがいつ本格的に売上に貢献するかです。次に、2026年下半期に初期の商業収入が出る見込みですが、その数字がどの程度になるかが、この会社の次の決定的な材料になるでしょう。
久保田さんの話で「ポスト量子」という言葉が出てきました。これは、将来の量子コンピュータでも解読が難しい暗号技術のことですね。つまり、未来の量子コンピュータに備えた安全な半導体が、認証を取って販売の準備に入った、ということですね。
今日の3本を並べてみると、共通しているのは「量子コンピュータを実際に社会で使うための下準備」が一気に進んだことです。IQMは誤り訂正を組み込んだ実用的な量子コンピュータの設置を決め、InfleqtionとCiscoは複数の量子デバイスをつなぐ通信技術を開発し、SEALSQは量子に強い暗号チップを製品化に近づけた。それぞれ独立した動きですが、どれも「研究室内の実験」から「実際のインフラや製品」への移行を意味しています。次に見ておくべきは、IQMが2027年に予定している初期導入で、誤り訂正のテストが計画通りに動くかどうかです。それが実証されれば、ほかの計画も一気に現実味を帯びてくるでしょう。
今日の米国市場です。9月11日の終値では、10銘柄のうち6銘柄が上昇し、4銘柄が下落しました。平均は-0.17%でした。いちばん上げたのはQuantum Computing Incで+2.17%、いちばん下げたのはXanaduで-4.01%でした。
いかがでしたか。今日は量子技術が実験室から実用へ移る動きを、3つの角度から見てきました。明日の夜もこの時間に、またお会いしましょう。




