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量子コンピュータ関連銘柄 更新: 10/12 12:45(日本時間)
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初めての資産運用 ― 量子コンピュータから学ぶ数字の読み方

【初めての資産運用 第4回】量子から学ぶ、分けて持つとなぜ効率が上がるのか

要約

前回は、リターンのばらつきが大きいほど最終的な金額が減ることを確認し、ばらつき1つぶんに対するリターンの効率性を計算しました。今回は、2つの資産に資金を分けた場合、その動き方によって全体のばらつきがどう変わるかを考えます。資産同士の関係性が効率に大きく影響することを見ていきましょう。

前回のおさらい

前回は、同じ平均リターン10%でも、ばらつきが大きいと最終的に手にする金額が減ることを見ました。そして「リターンをばらつきの大きさで割る」と、ばらつき1つぶんに対してどれだけのリターンが返ってきたかが分かりました。並べた3つのうちいちばん大きかったのはD(12÷20=0.6)で、リターンがいちばん高かったE(15÷40=約0.38)は、この数字ではいちばん小さいという結果でした。

2つの資産に分けると何が起きるか

今回は、2つの資産に資金を分けた場合を考えます。ここでは次の2つを用意しました。

  • F:平均リターン8%、ばらつき10%
  • G:平均リターン12%、ばらつき20%

単純に「リターンをばらつきで割る」と、Fは8÷10=0.8、Gは12÷20=0.6です。Fの方が効率的ですが、リターンはGの方が高い。迷いますね。

では、この2つに資金を半分ずつ分けたらどうなるでしょう。平均リターンは単純に平均を取って10%になります。ここまでは分かりやすい。問題はばらつきです。2つの資産がどのように動くかで、全体のばらつきが変わります。

一緒に動くときと、逆に動くとき

2つの資産がまったく同じ方向に動く「一緒に動く」場合を考えます。Fが上がるときはGも上がり、Fが下がるときはGも下がる。このとき、全体のばらつきは、単純に2つのばらつきを足して2で割ったような値になります。Fの10%とGの20%を足して2で割ると15%。これが「一緒に動く」場合の全体のばらつきです。

すると、全体の効率は10÷15=約0.67。F単独の0.8よりも低くなりました。2つに分けたのに、かえって効率が悪くなっています。

では、逆に「2つの資産が逆の方向に動く」場合はどうでしょう。Fが上がるときはGが下がり、Fが下がるときはGが上がる。この場合、一方が上がったぶんをもう一方が下がって打ち消すため、全体のばらつきは小さくなります。具体的には、10%と20%の差の半分、つまり(20−10)÷2=5%程度になります。

このときの効率は10÷5=2.0。F単独の0.8、G単独の0.6、そして一緒に動く場合の0.67と比べて、はるかに大きい数字です。

逆に動くだけで、なぜ効率が上がるのか

これは「ばらつきを小さくしながら、リターンは維持できた」からです。2つの資産の平均リターンはどちらの場合も10%ですが、逆に動く場合は上下の振れ幅が小さくなります。つまり、同じリターンを得るのに、受ける振れ幅がずっと少なくて済むのです。

この「一緒に動くのか、逆に動くのか」という性質は、資産を選ぶときにリターンやばらつきと同じくらい重要です。リターンが高くても、他の資産とまったく同じ方向に動くなら、分ける意味は薄れます。逆に、リターンが低くても、他の資産と逆に動くなら、全体の安定に貢献します。

ここまで「一緒に動く」「逆に動く」と表現してきた性質は、一般には相関と呼ばれています。相関が高い(一緒に動きやすい)資産を組み合わせても効果は小さく、相関が低い、あるいは逆に動く資産を組み合わせると効果が大きくなります。投資信託の資料では「相関係数」という数字で表されることもあるので、名前を覚えておくと役立つでしょう。

ここが量子コンピュータとつながっています

この連載の題に「量子から学ぶ」と入れている理由が、今回いちばんはっきり出ます。

資産が2つなら、見るべき関係は1組だけです。ではAとBとCの3つならどうでしょう。AとB、AとC、BとCで3組。10個なら45組。⚠️ 資産が増えると、見るべき「組み合わせ」は一気に増えます。

そこで、全部の組み合わせを表にして並べます。縦にも横にも資産の名前を並べ、交わったますに「この2つは一緒に動くか、逆に動くか」を書き込んだ表です。これが、資産運用でいちばん大事な道具になります。専門的には共分散行列と呼ばれます。

⭐ そして、量子コンピュータで扱う問題も、まったく同じ形の表で書かれます。

量子コンピュータの中では、量子ビットどうしが互いに影響し合っています。「この2つの量子ビットは、どれくらい強く結びついているか」を、縦横に量子ビットを並べた表に書き込む。⚠️ 資産の表と、量子ビットの表は、見た目が同じなのです。

だから「どの資産をどれだけ持つか」を決める問題は、量子コンピュータに載せやすい問題として早くから研究されてきました。資産の組み合わせの表を、そのまま量子ビットの結びつきとして置き換えられるからです。実際、この種の「組み合わせの中から良いものを選ぶ」問題は、量子コンピュータの代表的な題材になっています。

⚠ ただし「だから量子のほうが速い」とは言えません

⛔ ここは正直に書きます。形が同じことと、量子のほうがうまく解けることは、別の話です。

当サイトでも、勤務シフトを組む問題を実際に量子のやり方で解いてみたことがあります(シフト表をQAOAで解く)。結果は、当てずっぽうの12.5%に対して45.6%まで上がりましたが、⚠️ 期待したほどではなく、しかも足を引っ張っていた原因は量子の部分ではありませんでした。

いまの段階で言えるのは、「同じ形で書ける」ところまでです。⚠️ 読者が資産運用のために量子コンピュータを使う必要は、まったくありません。

⭐ それでも、この一致は覚えておく値打ちがあります。ばらつきを測り、組み合わせの効き方を表にして眺める——この数字の読み方は、投資の世界だけのものではない、ということだからです。

この数字が教えてくれること/教えてくれないこと

ここまで見てきた効率の計算も、相関の考え方も、すべて過去のデータから計算したものです。過去に逆に動いていた資産が、未来も必ず逆に動くとは限りません。経済の状況が変われば、相関の向きや強さも変わります。

⚠️ そして、ここで使った計算は両端でだけ通じる簡単な形です。「足して2で割る」も「差の半分」も、2つが完全に一緒に動くとき、完全に逆に動くときにだけ当てはまります。その中間では、この足し引きでは求められません(たとえば2つがまったく無関係に動く場合、上の例の全体のばらつきは15%でも5%でもなく、約11.2%になります)。実際の資産はここまで綺麗に動かず、中途半端にずれたり、時々同じ方向に動いたりします。数字はあくまで参考情報であり、未来を保証するものではありません。

次回予告

次回は、この「相関」の考え方をもう少し掘り下げます。具体的には、2つの資産の相関が「完全に一緒」から「完全に逆」まで変化したとき、全体の効率がどのように変わるかを、同じリターン・同じばらつきの資産を使った簡単な例で見ていきます。相関の強さが効率にどれだけ影響するのか、数字で確かめましょう。

※本記事は、特定の銘柄・商品・証券会社を推奨するものではなく、投資助言を目的としたものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。また、本記事の内容は情報提供であり、投資の成果を保証するものではありません。

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