9月29日、夜のクオンタムビューです。今日は量子コンピュータ関連のニュースが全部で14本入ってきました。まず14本をまとめてご紹介して、そのあと気になったものを3本、詳しく見ていきます。どうぞ最後までお付き合いください。
それでは、今日の14本をまとめてご紹介します。まずハードウェアの動きから4本です。ウィーン大学がプログラマブル量子フォトニックプロセッサの初の軌道上運用を実証しましたUniversity of Vienna、プログラマブル量子フォトニックプロセッサの初の軌道上運用を実証。Horizon Europeがハードウェアに依存しない量子ソフトウェアスタック構築のためQ-VERSEコンソーシアムを500万ユーロ(567万米ドル)で開始しましたHorizon Europe、ハードウェアに依存しない量子ソフトウェアスタック構築のためQ-VERSEコンソーシアムを500万ユーロ(567万米ドル)で開始。Messe StuttgartがQuantum Effects Award 2026の受賞者をハードウェアとソフトウェアの4部門で発表しましたMesse Stuttgart、Quantum Effects Award 2026の受賞者をハードウェアとソフトウェアの4部門にわたって発表。QuoblyとCEA-LetiがFAMESパイロットラインを通じて300 mmシリコンスピン量子ビットプラットフォームのスケーリングに向けた協力を強化しましたQuoblyとCEA-Leti、FAMESパイロットラインを通じて300 mmシリコンスピン量子ビットプラットフォームのスケーリングに向けた協力を強化。次に、買収と資金の動きです。Quantum eMotionがPlurilockをC$33.8M($23.8M USD)で買収し、量子安全サイバーセキュリティプラットフォームの商業化を進めますQuantum eMotion、PlurilockをC$33.8M($23.8M USD)で買収し、量子安全サイバーセキュリティプラットフォームの商業化へ。続いて、解説記事とコラムです。量子コンピュータが半導体に統合された後に起こると予想されること4選量子コンピュータが半導体に統合された後に起こると予想されること4選。量子化(物理学)とは何かを解説しました量子化(物理学)とは?。THRMLとpビットという2つの熱力学アプローチを比較しましたTHRMLとpビット——「確率的ゆらぎ」で解く2つの熱力学アプローチ。Jijの米州担当プレジデントSteve Gibson氏とのポッドキャストを紹介しましたJijの米州担当プレジデント、Steve Gibson氏とのポッドキャスト。生成AIがSaaSを迂回する構造変化を分析しました生成AIがSaaSを「迂回」する——インターフェースとデータベースの間に何が起きているのか。当サイトの新機能について3本です。blueqatのイベントをニュースサイトから見られるようにしました新機能:blueqat のイベントをニュースサイトで——これからのセミナーと、2017年からの1,284件の記録を一か所に。有料プランのご案内を掲載しました有料プランのご案内——論文の再現結果と企業ユースケースを、根拠つきで読む(月980円から)。株価とニュース、業界の関係図、量子研究ナレッジベースがつながりました新機能:株価の動きと会社どうしのつながりを一緒に——「株価とニュース」「業界の関係図」「量子研究ナレッジベース」がつながりました。最後に、9月28日の米国市場では量子コンピュータ関連10銘柄中9銘柄が下落しました【クオンタムマーケット】9月28日|量子コンピュータ関連10銘柄中9銘柄下落、平均-3.36%。この中から、詳しく見ていく3本をご紹介します。1本目はウィーン大学の軌道上実証、2本目はQ-VERSEコンソーシアム、3本目はQuantum eMotionの買収です。まず1本目です。
1本目は、ウィーン大学の発表です。ウィーン大学などの研究チームが、低軌道の小型衛星に搭載した光量子プロセッサで、二光子量子干渉とプログラマブル行列実行の初の実証に成功しましたUniversity of Vienna、プログラマブル量子フォトニックプロセッサの初の軌道上運用を実証。衛星は510kmの太陽同期軌道に打ち上げられ、重量9.8kg、消費電力10ワットという制約の中で、平均古典忠実度0.949での任意の3×3部分ユニタリ行列プログラミングを可能にしました。久保田さん、この実証で何が変わるのでしょうか。
この実証の意味は、量子ハードウェアを宇宙で「ただ動かす」ことから「実際に計算させる」ことへ進んだ点にあります。これまでも衛星を使った量子通信の実証はありましたが、軌道上でプログラマブルな光量子プロセッサが任意の行列演算を実行できたのは初めてです。これは、衛星で取得した画像データを地上に送る前に、軌道上で圧縮処理できる可能性を示しています。まだ示されていないのは、実際のリモートセンシングデータを使った処理の性能です。次に、衛星搭載画像の圧縮で従来手法と比較した結果が出れば、この技術の実用性が決定的になります。
「古典忠実度」という言葉が分かりにくかったかもしれません。これは、量子プロセッサが意図した計算をどれだけ正確に再現できたかを示す指標で、1に近いほど正確です。つまり、この実証は「宇宙の過酷な環境でも、量子プロセッサが地上と同じように正確に計算できる」ということですね。
2本目です。欧州委員会が、ハードウェアに依存しない量子ソフトウェアスタックを開発するQ-VERSEプロジェクトを開始しましたHorizon Europe、ハードウェアに依存しない量子ソフトウェアスタック構築のためQ-VERSEコンソーシアムを500万ユーロ(567万米ドル)で開始。Fraunhofer FOKUSが統括し、500万ユーロ(567万米ドル)の資金で13機関が参加します。鉄道運行管理や金融など5つの産業分野で実証試験を行う予定です。久保田さん、この取り組みの意義はどこにあるのでしょうか。
このプロジェクトの意義は、量子ソフトウェアを特定のハードウェアに縛られない形にしようという点です。今は量子コンピュータの種類ごとにプログラミング言語や実行環境が異なり、開発者がそれぞれに対応する必要があります。Q-VERSEは、その違いを吸収する共通の土台を作ろうとしています。これは、OSがハードウェアの違いを隠してくれるパソコンの世界に似ています。まだ示されていないのは、実際に5つの産業分野の実証で、既存の手法より使いやすいと評価されるかどうかです。次に、鉄道スケジューリングや金融ポートフォリオ最適化で、従来のソフトウェアと比較した結果が公表されれば、このスタックの価値が明確になります。
「ハードウェアに依存しない」という言葉を言い換えると、量子コンピュータのメーカーや方式が違っても、同じプログラムが動くようにする、ということです。つまり、ソフトウェア開発者が特定の機械を意識せずにプログラムを作れる共通の土台を作る、ということですね。
3本目です。Quantum eMotionが、AI駆動型サイバーセキュリティ企業のPlurilockを約33.8百万カナダドル(23.8百万米ドル)で買収しますQuantum eMotion、PlurilockをC$33.8M($23.8M USD)で買収し、量子安全サイバーセキュリティプラットフォームの商業化へ。この買収により、量子乱数生成ハードウェアの販売チャネルと公共部門の顧客基盤を獲得し、量子生成エントロピーとAIリスク分析を組み合わせたプラットフォームの商用化を進めます。久保田さん、この買収で何が変わるのでしょうか。
この買収のポイントは、量子技術のハードウェア企業が、既存の販路を持つサイバーセキュリティ企業を手に入れたことです。Quantum eMotionの量子乱数生成は、暗号化に使う乱数を量子の性質を使って作る技術です。これまでは技術はあっても販売チャネルが限られていました。Plurilockの持つ公共部門の顧客基盤とAIリスク分析技術を組み合わせることで、量子由来の乱数を使ったセキュリティ製品を、既存の顧客に直接売り込めるようになります。まだ示されていないのは、この買収が完了して、実際に統合された製品が市場でどう評価されるかです。次に、統合後のプラットフォームが既存のサイバーセキュリティ製品と比べてどの程度の性能を示すかが、決定的な材料になります。
「量子乱数生成」は、予測が不可能な乱数を量子力学の性質を使って作り出す技術です。つまり、今回の買収は、量子技術を実際の製品として顧客に届けるための販売網を手に入れる動き、ということですね。
今日の3本を並べてみると、それぞれが量子技術の「出口」を広げようとしている点で共通しています。1本目は宇宙という新しい場所で、2本目はソフトウェアの共通基盤で、3本目は販売チャネルで。それぞれ異なる場所で、量子技術を実際の社会に届けるための動きが進んでいます。まだ、これらの取り組みがどれだけ実を結ぶかは分かりませんが、次に見ておくべきは、2本目のQ-VERSEの実証結果が、実際の産業分野でどのような数字を出すかです。
最後に、今日の米国市場です。9月28日の終値では、量子コンピュータ関連10銘柄のうち、上昇したのはArqitの+0.16%だけでした。下落は9銘柄で、平均で-3.36%でした。最も下落したのはHorizon Quantumで、-8.47%でした。
今日は、量子技術が宇宙・ソフトウェア・サイバーセキュリティという異なる場所で社会に届くための動きが進んだ一日でした。明日の夜も、この時間にお会いしましょう。




