今夜もお届けします、9月19日のクオンタムビューです。今日入ってきたニュースは全部で18本。まず全体をざっとご紹介して、そのあと気になったものを詳しく見ていきます。久保田さん、よろしくお願いします。
まず量子ドット関連から2本です。300mmのCMOS製造ラインで量子ドットアレイの均一性が大幅に改善されたという研究報告と、量子ドットそのものを解説した記事です。300mm CMOS互換QSOI(R)プラットフォームで量子ドットアレイの均一性を大幅改善、量子ドットとは?。
次に、半導体製造と量子コンピュータの統合の動きから2本です。GlobalFoundriesがCHIPS法に基づき最大3億7,500万ドルの研究開発助成を最終確定し、ニューヨーク州で量子ハードウェアの量産体制を拡大します。GlobalFoundries、オンショア量子半導体製造のためのCHIPS Act 3億7,500万ドル助成を最終確定。DiraqとDell Technologiesが、シリコンQPUと高性能古典コンピューティングの統合で技術協力に合意しました。DiraqとDell Technologies、シリコンQPUと高性能古典コンピューティングの統合で提携。
続いて、提携・資金調達の動きから4本です。PasqalとLG CNSが、AIデータセンターへの中性原子QPU統合で3年間の覚書を締結しました。PasqalとLG CNS、AIデータセンターインフラへの中性原子QPU統合で3年間のMoUを締結。USA Rare Earth、Pasqal、Riven Systemsの3社が、希土類元素分離のための量子機械学習モデルを開発します。USA Rare Earth、Pasqal、およびRiven Systemsが重要鉱物処理のための量子機械学習を推進するために提携。Mitsubishi ElectricとOptQCが戦略的提携を拡大し、OptQCはNTT主導で70億円のSeries A2調達を完了しました。Mitsubishi ElectricとOptQC、70億円(約4,700万米ドル)のSeries A2と東京R&D拡張の中で戦略的提携を拡大。三菱電機は、量子ハードウェアの制御システムを拡張するNEDOの2つのプロジェクトに選定されました。三菱電機株式会社、量子ハードウェアプラットフォームのスケーリングに向けた2つの。
次に、量子セキュリティ関連から5本です。Quantum Bが、量子もつれを用いたコンセンサスを実現するプロトコルに関する欧州特許を取得しました。Quantum B、Quantum Conference Key Agreement Protocolに関する欧州特許を取得。Sectigoが、企業向けの量子セキュリティ管理プラットフォーム「Quantum Ready」を発表しました。Sectigo、エンタープライズQuantum Security Posture Management (QSPM)を促進するQuantum Ready™プラットフォームを発表。Quantum X Labsが、量子力学の原理をネットワーク防御に直接活用する量子ネイティブなサイバーセキュリティ構想を発表しました。Quantum X Labs、QuantumQ部門の下で量子ネイティブなサイバーセキュリティアーキテクチャを発表。Qtonic Quantum Corpが、ソフトウェアだけでポスト量子ネットワークを保護するランタイム「QShield」を発表しました。Qtonic Quantum Corp、即時のソフトウェアのみによるポスト量子ネットワーク保護を実現するQShieldを発表。ICTKとJiran Securityが、耐量子計算機暗号への移行を支援する「Q-BRIDGE」で提携しました。ICTKとJiran Security、エンドツーエンドのPQC移行フレームワーク商業化に向け「Q-BRIDGE」で提携。
続いて、ハードウェア部品から1本です。NLM PhotonicsとLIGENTECが、商業用プラットフォームで初のシリコンナイトライド有機ハイブリッド変調器を製造しました。NLM PhotonicsとLIGENTEC、材料サプライチェーン拡大の中で初のシリコンナイトライド有機ハイブリッド変調器を製造。
次に、市場の動きから1本です。9月18日の米国市場では、量子関連10銘柄のうち上昇が4、下落が6で、平均は0.64%の下落でした。【クオンタムマーケット】9月18日|量子関連10銘柄、上昇4・下落6、平均-0.64%。
次に、SPAC合併の動きから1本です。EigenQとSilicon Valley Acquisition Corp.が、30億ドルのSPAC合併に先立ち、4,500万ドルのコミット型転換社債による資金調達を確保しました。EigenQとSilicon Valley Acquisition Corp.、30億ドルのSPAC合併に先立ち4,500万ドルのコミット型転換社債による資金調達を確保。
次に、地域ハブの動きから1本です。EPBが、テネシー州チャタヌーガでIonQ Forte Enterprise量子コンピュータを正式稼働させました。EPB、チャタヌーガ・ハブにIonQ Forte Enterprise量子コンピュータを正式稼働。
最後に、解説記事から1本です。GGUFとllama.cppとvLLMの違いについて、役割ごとに整理した解説です。【教えて先生】GGUFとllama.cppとvLLM ― 同じモデルを動かすのに何が違うのか。
では、この中から詳しく見ていく3本です。1本目は、GlobalFoundriesがCHIPS法に基づく3億7,500万ドルの助成を最終確定した件です。2本目は、EigenQとSilicon Valley Acquisition Corp.が確保した4,500万ドルの資金調達です。3本目は、EPBがIonQ Forte Enterpriseを正式稼働させた件です。まず1本目からお伝えします。
半導体メーカーのGlobalFoundriesが、米国商務省との間で、CHIPS法に基づく最大3億7,500万ドルの研究開発資金を受け取る最終合意を締結しました。この資金は5年間のマイルストーン方式で配分され、ニューヨーク州マルタの製造複合施設にある、量子技術に特化した事業部門の拡大を加速します。この部門は、同社の22FDXという22ナノメートルのプロセス技術を活用しています。この技術は、極低温で動く制御回路に広く使われていて、シリコンスピンやイオントラップなど、さまざまな方式の量子コンピュータ向けの基盤を提供します。この助成は、研究段階のプロトタイプから、量産製造へと移行するためのものです。また、これはシリコンフォトニクス向けの3億ドルの助成契約と並ぶ、もうひとつの大きな投資になります。
GlobalFoundriesが、米国商務省とCHIPS法に基づく最大3億7,500万ドルの研究開発助成を最終確定しました。資金は5年間で配分され、ニューヨーク州マルタの施設で量子ハードウェアの量産体制を拡大します。22FDXという22ナノメートルのプロセス技術を使い、極低温で動く制御回路を提供するものです。GlobalFoundries、オンショア量子半導体製造のためのCHIPS Act 3億7,500万ドル助成を最終確定。久保田さん、この助成で量子コンピュータの量産は具体的にどう前進するのでしょうか。
これは一言で言えば、「研究所の試作」から「工場の量産」へ切り替えるための資金が確定した、という話ですね。GlobalFoundriesが既に持つ22FDXというプロセス技術を使うので、新規の設備投資ではなく、既存の製造ラインを量子向けに振り向ける形です。つまり、量子コンピュータの制御回路が、研究用の一点物ではなく、商業ファウンドリで安定して作れる段階に近づいた、という点が前進です。
ただ、この助成はあくまで「作る体制」の話で、そこで作られた制御回路が実際に量子ビットを安定して動かせた、という性能データはまだ示されていません。次にこのラインで製造したチップが、実際の量子コンピュータでエラー率を下げた、という実証結果が出れば、この量産路線は決定的になるでしょう。
そうですね。「商業ファウンドリ」という言葉が出ましたが、これは半導体を専門に大量生産する工場のことを指します。つまり、既存の量産ラインを量子向けに使えるようになったことで、研究所の試作品から工場での量産への切り替えが進む、ということですね。
EigenQとSilicon Valley Acquisition Corp.が、30億ドルのSPAC合併に先立ち、コミット型転換社債で4,500万ドルを確保しました。先行資金2,250万ドルが提供され、残りは企業結合完了時に放出されます。合併後の企業価値は約30億ドルで、2026年第4四半期にNasdaq上場予定です。調達資金は耐量子セキュリティ製品の商業展開や研究開発に使われます。EigenQとSilicon Valley Acquisition Corp.、30億ドルのSPAC合併に先立ち4,500万ドルのコミット型転換社債による資金調達を確保。
久保田さん、この資金調達は、EigenQの商業展開をどう加速させるのでしょうか。
この資金調達で変わるのは、EigenQが上場完了前に運転資金を確保できた点です。コミット型なので、先行資金2,250万ドルはすぐに入り、残りも合併完了時に放出される。つまり、耐量子セキュリティ製品の商業展開を、上場の成否と切り離して進められるようになりました。まだ示されていないのは、この資金で作る製品の実需要です。パートナー企業との契約は発表済みですが、実際の販売実績や、上場自体が完了するかどうかは、まだ分かりません。次に具体的な受注や納入事例が出れば、このビジネスモデルは説得力を増すでしょう。
(1) 久保田さんの話で「コミット型」という言葉が出ましたが、これは「あらかじめ支払いが約束されている形」という意味です。つまり、条件付きではなく確実に入るお金として確保されている、ということです。
(2) つまり、EigenQは上場の成否にかかわらず、製品の開発や販売を進めるための資金を先に確保できた、ということですね。
有沢: 3本目は、テネシー州チャタヌーガでEPBがIonQ Forte Enterprise量子コンピュータを正式稼働させた件です。米国初のイオントラップ方式QPUとフォトニクス量子ネットワークを統合した商業拠点で、まずスマートグリッド最適化に活用され、商用サービスは2026年10月に始まります。400万ドルのNIST助成金による研究チームも併設されました。EPB、チャタヌーガ・ハブにIonQ Forte Enterprise量子コンピュータを正式稼働。久保田さん、この施設の稼働で、量子コンピュータの実用利用はどのように変わるのでしょうか。
この施設で変わるのは、量子コンピュータが地域の電力インフラの一部として動き出す点です。EPBは自社のスマートグリッド最適化に使い、商用サービスは来年10月に始まります。つまり、研究用の実験装置ではなく、公益事業者が実際の運用に使う「実装」として位置づけられたわけです。ただ、まだ示されていないのは、そのアルゴリズムが既存の古典コンピュータより明確に良い結果を出せるかどうかです。次に、NISTの助成金で動く研究チームが、電力損失の低減や回復力向上の実測データを出せれば、この拠点の意義は決定的になるでしょう。
久保田さんの話で「スマートグリッド」という言葉が出ましたが、これは電力の送配電網を情報技術で効率的に制御する仕組みのことです。つまり、量子コンピュータが研究用の実験装置ではなく、電力会社が実際の運用に使う実装として動き始めた、ということですね。
3本は、製造、セキュリティ製品、電力インフラと領域がばらばらです。ただ、いずれも「量子技術を研究から実用へ移す」ための資金や設備が動き出した点では共通しています。GlobalFoundriesは量産の土台、EigenQは上場前に資金を確保、EPBは実運用の場を立ち上げました。いずれもまだ性能や売上の実証データは出ていません。次に見るべきは、EPBのスマートグリッドで量子コンピュータが実際に電力損失をどれだけ減らしたか、その数字です。
今日の米国市場ですが、量子関連10銘柄のうち、上昇が4、下落が6で、平均は0.64%の下落でした。いちばん上げたのはIQMで7.92%の上昇、いちばん下げたのはQuantinuumで5.36%の下落です。値動きの背景は今日のニュースで扱ったとおりです。
研究から実用への移行が今夜の共通点でした。次はEPBの電力損失の実測データが鍵になりそうです。それではまた明日の夜、この時間にお会いしましょう。




