2026年8月は、自社設計チップの発表が続いた月でした。並べると、同じ時期に反対の選択がされていることが見えてきます。
進んだ側と、据え置いた側
Appleが8月25日に発表したM6は、同社にとって初の2nmです。CPU12コア、メモリ帯域は最大170GB/s。上位のM5 Ultraは初のクアッドダイ構成で、ユニファイドメモリ最大512GB・帯域1.2TB/sとしています。
その前日、Xiaomiが発表した玄戒O3は3nmに据え置きでした。前世代と同じ世代のまま、トランジスタ数を240億へ26%増やし、ダイ面積を133mm²に広げています。
世代を進めるか、面積で稼ぐか。同じ週に2つの答えが出ました。
nmはもう長さではない
前提として押さえておきたいのは、いまのnmが実際の寸法ではないことです。かつてはトランジスタの一部分の寸法を指していましたが、技術の進み方が変わって対応しなくなりました。いまは世代を表す名前です。
ですから会社をまたいで「3nm対2nm」と比べても、中身が同じ保証はありません。詳しくはプロセスノードを扱った回で説明しています。
見るべきなのは、同じ会社の前の世代と比べてどうなったかです。
どちらも工場を明かしていない
両社に共通していることがあります。製造を請け負う工場の名前を公表していません。
Appleは「2nm」とだけ述べています。Xiaomiも「3nm」とだけです。トランジスタ数やダイ面積は出しても、どこで作るかは出さない。この非対称は、いまの発表の作法として定着しています。
買い手が設計に関わる形
もう一つ、8月に目立った動きがあります。特定の顧客のためにチップを設計する契約です。
MarvellがGoogle向けに結んだ商業契約は、SECに提出された8-Kで条件が確かめられる珍しい例でした。AI推論アクセラレータ、ストレージコントローラ、ネットワークインターフェースコントローラなど5つの製品が対象です。
汎用品を作って売るのではなく、買い手が決まっているものを一緒に作る。この形が広がっています。
次の回
世代の話は「どこまで小さくするか」でした。次の回では、小さくする以外の道を見ます。ウエハーを丸ごと使う、計算の原理を変える、といった試みです。


