9月11日のクオンタムビュー、始まります。この24時間に入ってきたニュースは全部で5本です。まず5本をざっと紹介して、そのあと久保田さんと気になったものを詳しく見ていきます。
それでは5本、順に紹介していきます。
まずDeepSeek、V4.1-Flash を MIT ライセンスで公開です。DeepSeekが2026年9月10日に新モデルを公開し、552Bという規模ながら実際に動く部分を絞り込んでいます。
続いてNISTとは?です。アメリカ国立標準技術研究所の役割と、量子時代に向けた新しい暗号方式の標準化について紹介する記事です。
量子コンピュータの技術面では2本入っています。光円錐を超える耐性:IBMがダイナミック回路の誤り検出付きプリミティブを実証では、IBMが誤りに強い新しい回路技術を実機で試した結果が報告されています。ハードウェア方式を横断する耐障害性コンパイル基盤:光・超伝導・中性原子で量子化学計算の資源を比較では、コペンハーゲン大学系のグループが、異なる方式の量子コンピュータを横並びで比較できる仕組みを提案しています。
最後は【クオンタムマーケット】9月9日|量子関連10銘柄そろって反落、平均-3.19%です。9月9日、量子コンピュータ関連の10銘柄がそろって下落し、平均でマイナス3.19%となりました。
以上5本です。この中から、IBMのダイナミック回路の話、コペンハーゲン大学のコンパイル基盤の話、そして量子関連銘柄の株価の話、この3本を詳しく見ていきます。まずはIBMの話から入ります。
光円錐を超える耐性:IBMがダイナミック回路の誤り検出付きプリミティブを実証
IBMが超伝導プロセッサで実験しました。100量子ビットの鎖の両端をもつれさせる実験で、誤り検出ありだと忠実度0.59、なしだと0.39でした。もつれの目安である0.5を、検出ありの場合だけ超えています。久保田さん、この「誤り検出」というのは具体的に何をしているのでしょうか。
一言で言うと、答え合わせをしてから使う仕組みです。測定結果のパターンから、誤りが起きた実行を見分けて捨てます。これで100量子ビット離れた場所のもつれが、目安の0.5を初めて超えました。捨てる分だけ試行回数は増えますが、質は明確に上がります。ただし今回はこの回路単体での実証にとどまります。実際の量子アルゴリズムに組み込んだ場合の性能や、より大規模な量子ビット数での確認は、まだ示されていません。
久保田さん、その「答え合わせをしてから使う」というのは、テストで見直しをして怪しい答案だけ提出しない、といったイメージでしょうか。つまり、試行回数を増やす代わりに、離れた量子ビット同士のもつれの質を確実に高められた、ということですね。
【クオンタムマーケット】9月9日|量子関連10銘柄そろって反落、平均-3.19%
続いては株価の話です。9月9日、量子コンピュータ関連10銘柄が全て下落し、平均マイナス3.19%でした。下げを主導したのはIonQのマイナス5.76%とXanaduのマイナス5.63%です。久保田さん、10銘柄がそろって下落するというのは、どの程度珍しいことなのでしょうか。
10銘柄がそろって下落するのは、決して珍しいことではありません。業界全体に資金が入ったり抜けたりする局面では、個別の業績と関係なく全銘柄が同じ方向に動きやすいからです。今回変わったのは、前日までの上昇分をほぼ帳消しにした銘柄が多いという事実だけです。IonQやXanaduがなぜ下げを主導したのか、この記事の範囲では分かりません。数日この値動きが続くかどうかで、一時的な反動なのか別の材料があるのかが見えてくるはずです。
久保田さん、「資金が入ったり抜けたりする局面」というのは、業界全体にお金が集まったり離れたりする流れのことですね。つまり、今回の下落だけでは一時的な反動なのか別の理由があるのか、まだ判断できないということですね。
ハードウェア方式を横断する耐障害性コンパイル基盤:光・超伝導・中性原子で量子化学計算の資源を比較
コペンハーゲン大学系のグループが、光・超伝導・中性原子という異なる方式を横並びで比較できるコンパイル基盤を発表しました。小分子の量子化学計算で必要な物理量子ビット数は約1万個、実行時間は光と超伝導で約100ミリ秒、中性原子で約10万ミリ秒と見積もっています。久保田さん、この千倍という時間差は、方式そのものの速さの違いなのでしょうか、それとも誤り訂正のやり方の違いによるものなのでしょうか。
その差は主にクロック速度、つまり1回の操作にかかる時間の違いによるものです。中性原子は操作自体に時間がかかる方式なので、同じ誤り訂正手順を使っても実行時間が伸びます。誤り訂正のやり方の違いというより、ハードウェアの動く速さの差が効いていると考えられます。今回変わったのは、方式ごとに条件を揃えて数字を出せるようになった点です。ただしこれは1万量子ビット規模の見積もりにとどまります。実機でこの規模を実際に動かせるかは、まだ示されていません。
久保田さん、その「クロック速度」というのは、1回の操作を終えるまでにかかる時間の長さのことですね。つまり、方式ごとの実行時間の差は誤り訂正の手順ではなく、ハードウェアそのものの動く速さの違いから来ている、ということですね。
今日の3本はそれぞれ別の動きです。IBMは誤り検出で忠実度を目安の0.5より上げる実証、コペンハーゲンは方式ごとの見積もりを条件を揃えて出す基盤、株価は業界全体の資金の出入りです。技術の前進と市場の反応は、今のところつながっていません。次に見ておくべきは、IBMのような誤り検出の工夫が、コペンハーゲンの基盤の中で実行時間や量子ビット数にどう反映されてくるかだと思います。
9月10日の米国市場も、量子コンピュータ関連10銘柄は上昇0、下落10、変わらず0でした。平均はマイナス2.32%です。下げが最も小さかったのはQuantinuumのマイナス0.45%、最も大きかったのはArqitのマイナス4.90%でした。
技術の前進が見積もりにどう反映されていくか、引き続き注目です。それでは、明日の夜もこの時間に。




