2026年8月24日、小米(Xiaomi)が「玄戒チップ技術交流会」を開き、自社設計とするチップ3種を同時に発表しました。壇上で説明したのは玄戒チップ製品ラインの責任者・朱丹(Zhu Dan)氏です。3種のうちスマートフォン向けSoC(さまざまな回路を1つのチップにまとめた半導体)の玄戒O3はすでに量産済みで、折りたたみ機の Xiaomi 18 Fold とタブレットの Xiaomi Pad 9 Pro Max に載り、9月に中国で発売されるとしています。残る2つ、大規模AIモデル向けアクセラレータの玄戒O100と、自動運転向けの玄戒D100は、いずれも2027年の商用化予定です。前世代の玄戒O1は2025年5月に出ており、O3はその459日後の発表にあたります。本記事は2026年8月25日時点で確認できた内容にもとづきます。
玄戒O3について同社が発表会で示した数値は次のとおりです。製造プロセスは3nm、トランジスタ数は240億、ダイ面積は133mm²です。O1は190億トランジスタ・109mm²で、それぞれ26%増、約22%増になります。CPUは10コアで、O1の4クラスタ構成から3クラスタへ組み替え、省電力コアを廃止したとしています。内訳はC1-Ultraが2基で4.35GHz、C1-Premiumが4基で3.68GHz、C1-Proが4基で3.15GHzです。同社は性能がO1比60%向上したとしています。GPUは16コアの「G2-Ultra NX」で、性能85%向上・消費電力64%削減と説明しています。NPUは作り直したとしており、テンソル200 TOPS、ベクトル3.13 TFLOPS、自社の大規模モデルMiMoを端末上で動かすことを狙う、端末内AIの性能は45%向上、と説明しています。
メモリではLPDDR6に対応するとしています。同社によると10,667Mbps、帯域113.8GB/sで、O1比48%増です。小米はLPDDR6に対応した世界初のモバイルプロセッサだとしています。これは同社の主張であり、第三者が確かめたものではありません。
ベンチマークのAnTuTu V11では5,228,014点を示し、500万点を超えたのは初としています。ただしこれは小米自身が実験室条件で出した値であり、第三者の実測ではありません。
玄戒O3が使うC1-Ultra・C1-Premium・C1-Proは、Armが販売しているCPUコアのIP(設計資産)です。2025年9月に発表されたArm Lumex CSSプラットフォームに含まれ、Armの公式サイトで確認できます。ArmはC1-Ultraを旗艦向けとし、Cortex-X925比でシングルスレッド25%高速としています。C1-PremiumはC1-Ultraより面積が35%小さい準旗艦向け、C1-Proは持続的な負荷に向けた設計です。前世代の玄戒O1も、ArmのCortex-X925とImmortalis-G925を使っていました。つまりここでいう自社設計とは、外部から買ったCPUコアを組み合わせ、SoCとしてまとめ上げる部分を指します。CPUコアそのものを一から起こしているわけではありません。一方、GPU「G2-Ultra NX」がどこの設計によるものかは公表されていません。
製造については、小米は3nmとしか述べていません。どこが製造を請け負うのかは公表していません。あわせて、QualcommとMediaTekは次世代で2nmへ移るとされる一方、玄戒O3は3nmに据え置かれています。
出荷の規模については、小米の盧偉冰(Lu Weibing)社長が決算説明会で、玄戒O1を積んだ3製品、すなわちスマートフォン・タブレット・ウォッチの累計出荷が100万台を超えたと述べています。この100万台は3製品の合計であり、スマートフォン単体の数ではありません。
残る2つのチップです。玄戒O100は6nmで、WoW(ウエハー・オン・ウエハー)3D積層を使い、帯域は最大1.22TB/s、接合ピッチは1.4µmとしています。小米は業界初の6nm WoW 3D先進パッケージングだとしています。玄戒D100は3nmで、CPU20コア・NPU16コア、最大160GBのユニファイドメモリを備え、2,000億パラメータ規模の大規模言語モデルをローカルで動かせるとしています。小米は中国初の3nmプロセスによる高演算の自動運転AIチップとしており、検証はすべて完了、2027年に商用化と説明しています。演算性能や製造を請け負うファウンドリ、搭載車種は公表されていません。発表会では、O3・O100・D100の3つを1台に載せた卓上機「AI Cube」の試作も示されました。持続出力150Wで、1200億パラメータ級のモデルをローカルで動かすとしています。
研究開発の規模について、小米は2021年から10年で少なくとも500億元をチップ開発に投じるとしています。玄戒への累計投資は2025年4月時点で135億元を超え、開発再開後の累計は210億元超(約31億ドル)、チップ技術者は3,000人近くだと同社は説明しています。雷軍(Lei Jun)氏は2026年について、自社チップ・自社OS・自社の大規模AIモデルを1つの製品に統合することを目標に掲げています。大規模モデルを端末側で動かす方向は、当サイトでもFreeToken、手元のPCでMoEモデルを動かす実行系をarXivで公開として取り上げました。自社向けのチップを自分で設計させる動きについてはMarvellがGoogle向けカスタム半導体で契約の記事もあわせてご覧ください。

