10月14日、夜のクオンタムビューをお届けします。今日は量子コンピュータ関連のニュースが6本入ってきました。まず全体をざっとご紹介して、そのあと気になったものを詳しく見ていきますね。
まず資金調達の動きから2本です。スペインのQilimanjaro Quantum TechがシリーズAでQilimanjaro、マルチモーダル・フラクソニウムシステムの産業化に向けてシリーズAファーストクローズで1,960万ユーロ(2,190万米ドル)を獲得、そして米国のInfleqtionがInfleqtion、リュードベリ量子RFセンシングを実運用展開へ移行するためInnovate UKから900万ポンド(約1,200万米ドル)の助成金を獲得しました。続いて市場の動きです。【クオンタムマーケット】10月13日|量子関連10銘柄中9下落、平均-2.84%で、関連銘柄のほとんどが下落しました。さらに、NVIDIAがNVIDIA、フランスのエージェントAI投資とインフラ拡充を発表——新興4社に出資、LiquidAIがLiquidAI、推論特化型MoEモデル「LFM2.5-24B-A2B」を発表——2B活性で高速オンデバイス推論を発表しています。最後に、フォールトトレラントとは?という、量子コンピュータの誤り耐性を解説する記事もありました。この中から、資金調達2本と市場の動きの3本を詳しく見ていきます。
まず1本目です。Qilimanjaro、マルチモーダル・フラクソニウムシステムの産業化に向けてシリーズAファーストクローズで1,960万ユーロ(2,190万米ドル)を獲得。スペインの量子ハードウェア企業Qilimanjaro Quantum Techが、シリーズAのファーストクローズで1,960万ユーロ、日本円で約34億円を調達しました。出資したのは防衛企業のIndra Groupとスペイン政府系機関のSETTです。量子ビットにフラクソニウムという素材を使うのが特徴で、調達資金で製造と商用展開を加速させるとのことです。久保田さん、この調達は何を動かすのでしょうか。
そうですね、まずこの資金調達で何が変わるかですが、Qilimanjaroはフラクソニウムという比較的新しいタイプの量子ビットを採用しています。従来の方式よりノイズに強いとされていて、これを量産体制に乗せるための資金だと位置づけられます。特筆すべきは出資者です。防衛企業のIndra Groupとスペイン政府系機関が入ったことで、単なる研究開発ではなく、防衛やAIといった実用分野を見据えた産業化が意識されていると言えます。ただ、まだ示されていないのは、実際にこの量子ビットがどれだけの性能を発揮するかというデータです。フラクソニウムは有望ですが、量産時の歩留まりや、従来型との性能比較はまだ十分に公開されていません。次に、具体的なベンチマーク結果や、実際の顧客での利用事例が出てくれば、この技術の位置づけがはっきりするでしょう。
フラクソニウムは、従来の量子ビットよりノイズに強い素材ということですが、まだ量産時の性能データは出ていないんですね。つまり、今回の資金で量産体制を整えつつ、これから性能を証明していく段階だということですね。
続いて2本目です。Infleqtion、リュードベリ量子RFセンシングを実運用展開へ移行するためInnovate UKから900万ポンド(約1,200万米ドル)の助成金を獲得。量子技術プロバイダーのInfleqtionが、英国のInnovate UKから900万ポンド、約17億円の助成金を獲得しました。これはリュードベリ原子という特殊な状態の原子を使って電波を探知するシステムで、防衛・航空宇宙大手のLeonardoと共同開発しています。試作段階から実運用への移行を目指すとのことです。久保田さん、この技術の何が新しいのでしょうか。
この技術のポイントは、従来のアンテナの代わりに原子を使って電波を捉えるという点です。リュードベリ原子は、光を当てると電波に敏感に反応する性質があります。これを利用すれば、物理的に大きなアンテナを搭載しなくても、広い周波数帯の電波を探知できます。つまり、飛行機やドローンなど、スペースに制約がある場所でも使えるようになる。そこが大きな前進です。ただ、まだ示されていないのは、実際の運用環境での精度や信頼性です。実験室での性能は確認されていても、実際の戦場やインフラ監視の現場で、どれだけ正確に電波の方向を特定できるのかは、これからの実証試験次第です。次に、このQuDiFiプログラムのフェーズ2の成果報告が出てくれば、実用化への道筋が見えてくるはずです。
リュードベリ原子というのは、光を当てると電波に敏感に反応する原子のことでしたね。大きなアンテナの代わりになるので、飛行機など省スペースな場所で使える可能性があるわけですね。つまり、実験室の外での実証試験が次の関門だということです。
最後に3本目です。【クオンタムマーケット】10月13日|量子関連10銘柄中9下落、平均-2.84%。10月13日の米国市場で、量子コンピュータ関連の10銘柄のうち9銘柄が下落しました。平均で-2.84%です。上昇したのはArqitの1銘柄だけで、下落幅が最も大きかったのはQuantinuumの-6.98%、次いでIonQの-4.25%でした。久保田さん、この全面安はどう見ればいいのでしょうか。
そうですね、1日の値動きだけで見ると、ほぼ全面安だったという事実だけです。ただ、気になるのは下落の背景です。この日、IonQは買収と技術実証の2つのニュースを発表しています。にもかかわらず株価は下落しました。これは、良いニュースが出ても株価が上がらない状況だと言えます。市場全体がリスク回避のムードにあるのか、あるいは個別の材料よりもマクロ経済の影響が大きいのか、そのあたりはまだはっきりしません。次に見るべきは、この下落が一時的なものなのか、それともトレンドとして続くのかです。明日以降、他の量子関連銘柄がどう動くかを見れば、市場の判断が見えてくるでしょう。
良いニュースが出ても株価が上がらないのは、市場全体がリスクを避けるムードだからかもしれないんですね。つまり、この下落が一時的かどうかは、明日以降の動きを見ないと判断できないということです。
今日の3本を並べて見ると、資金調達が2件、市場の下落が1件という構成でした。資金調達の2件は、いずれも政府系や防衛系の資金が入っているのが共通点です。民間の市場では株価が下落している一方で、公共セクターからの資金は量子技術に対して前向きだという対比が見えます。このギャップが続くのか、それとも市場の評価が追いついてくるのか。次に見ておくべきは、この2つの資金調達を受けた企業が、今後どんな実証結果を出してくるかです。それが市場の見方を変える材料になるかもしれません。
今日の米国市場ですが、10月13日の終値で量子関連10銘柄のうち上昇は1銘柄、下落は9銘柄で、平均は-2.84%でした。いちばん上げたのはArqitの+1.11%、いちばん下げたのはQuantinuumの-6.98%です。値動きの理由は今日のニュースで扱ったとおりですが、ご自身の投資判断はなさらないようお願いします。
今日は資金調達の前向きな動きと、市場の慎重なムードが対照的でした。明日の夜もこの時間に、最新の動きをお伝えします。おやすみなさい。


